【国家総合職】推論問題を解くコツは出題パターンを知ること【命題と推論3】

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本サイト、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。
18時台の更新は久しぶりで、ちょっと清々しい気分。

今回のテーマは「推論問題」です。
推論問題には一定のパターンがあるのを知ってますか?
以下の記事に詳しく書いているので、ぜひ覗いてみてください。

モクセイ
モクセイ

まだ見てない方は先にこっちを見るとスムーズに理解できるかも

演習問題:命題と推論3

次のうち、推論が論理的に正しいのはどれか。

  1. ある会社では、コピー用紙とホッチキスの月ごとの消費量を調べ、記録している。その結果、この会社ではコピー用紙とホッチキス両方の月あたりの消費量が、年間を通じた月あたりの消費量の平均を上回った月には、会議が50件以上行われていることが分かった。このとき、ある月のホッチキスの消費量が、年間を通じた月あたりの消費量の平均を下回っていたことが分かると、この月に行われた会議の件数は50より少なかったことが推論できる。
  2. ある地域で行われた調査によると、毎朝必ず朝食を食べる人は1日の通勤・通学に要する時間が1時間未満であることが分かった。また、1日1時間以上を読書に費やす人は1日の通勤・通学に要する時間が1時間以上であることが分かった。このとき、1日の読書時間が1時間に満たない人は、毎朝必ず朝食を食べる人であることが推論できる。
  3. ある地域で、数種類の果物に対し「好き」あるいは「好きでない」の二択で回答する形式のアンケート調査を行った。すると、りんごが好きと答えた人はみかんまたはぶどうが好きと答え、ぶどうが好きと答えた人はいちごが好きでないと答えたことが分かった。このとき、このアンケートに回答したAという人物が、いちごが好きと答えたことが分かったとすると、Aはりんごが好きでないことが推論できる。
  4. ある中学校で、学業成績と生活習慣の関連性を調べる調査を行った。すると、1日の勉強時間が3時間以上または平均の睡眠時間が8時間以上の生徒は、毎朝必ず先生にあいさつをし、かつテストの正答率が80%以上であることが分かった。このとき、この中学校に通う生徒Bが朝先生にあいさつをしない日があり、かつテストの正答率が85%であることが分かったとすると、Bの1日の勉強時間は3時間より少なく、かつ平均の睡眠時間が8時間より少ないことが推論できる。
  5. X市のある高校で、X市の住まいに関するアンケート調査を行った。すると、将来はX市に住みたいと回答した生徒は、X市のまちづくりに関心がないと回答した。また、X市のボランティア活動に参加したいと回答した生徒は、X市の住み心地が良いと回答したことが分かった。さらに、X市のボランティア活動に参加したくないと回答した生徒は、X市のまちづくりに関心がないと回答したことも分かった。このとき、X市の住み心地が良くないと回答した生徒は、将来はX市に住みたくないと回答したことが推論できる。

推論の正誤を判断する問題です。
落ち着いて、分かることを整理しながら選択肢を一つずつ検討しましょう。
以下、詳しい解説になります。
回りくどい説明が嫌な方は、一番下に略解としてコンパクトにまとめてあるので、そこだけ読んでいただくのでも大丈夫です。

それでは、解説スタート!

解説

解法のポイント
推論の正誤を判断する方法3パターン
  1. 命題として処理(対偶や三段論法)
  2. 真偽表を作る
  3. その他

本問は選択肢ごとに設定が独立しています。
上の3パターンのどれに当てはまるのかを見極めて、適切な解法を選択しましょう。

選択肢1の正誤:推論からの逆算で考える

命題を使って考えます。
前半部分の条件を命題の形で表すと、以下のようになります。

\[
(コピー用紙の消費が平均以上)\land(ホッチキスの消費が平均以上)\Rightarrow(会議の件数が50以上)
\]

この命題は分割できますね。

\[
(コピー用紙の消費が平均以上)\Rightarrow(会議の件数が50以上) \\
(ホッチキスの消費が平均以上)\Rightarrow(会議の件数が50以上)
\]

これに対し、証明したい推論は以下です。

\[
(\overline{ホッチキスの消費が平均以上})\Rightarrow(\overline{会議の件数が50以上})
\]

分割した命題の対偶を取っても、「\((\overline{ホッチキスの消費が平均以上})\Rightarrow〜\)」の形にはなりません。
つまり、与えられた情報からは推論が正しいことを示せません。

以上より、1の推論は誤りです。

選択肢2の正誤:対偶で三段論法を使う

ここでも命題を活用します。
前半部分の条件を命題で表すと、次のようになります。

\[
(朝食を必ず食べる)\Rightarrow(\overline{通勤時間が1時間以上}) \\
(読書の時間が1時間以上)\Rightarrow(通勤時間が1時間以上)
\]

1つ目の命題の対偶を取ると
「\((通勤時間が1時間以上)\Rightarrow(\overline{朝食を必ず食べる})\)」
なので、三段論法により次の命題も真です。

\[
(読書の時間が1時間以上)\Rightarrow(\overline{朝食を必ず食べる})
\]

ここで、推論命題は以下です。

\[
(\overline{読書の時間が1時間以上})\Rightarrow(朝食を必ず食べる)
\]

これは三段論法で得られた命題の裏に当たります。
よって、推論は必ずしも正しいとは言えないので、2の推論は誤りです。

モクセイ
モクセイ

元の命題が真でも裏は分からないよ

選択肢3の正誤:「好き嫌い」なら真偽分類表

好き嫌いがテーマの推論には「真偽表」が有効です。

真偽表は、「あり得る全てのケースを書き出して条件に合わないものを削除していく」方法でしたね。

まず、「りんごが好きと答えた人はみかんまたはぶどうが好きと答え」なので、りんごが○なのにみかんもぶどうも×のバターン(下表の7と8)が消えます
また、「ぶどうが好きと答えた人はいちごが好きでないと答えた」より、ぶどうが○でいちごも○なパターン(下表の1と5と9と13)も消えます。

モクセイ
モクセイ

4つ全部好きな筆者はここで脱落(??)

条件はこれですべて。
この元で、「Aという人物が、いちごが好きと答えたことが分かったとすると、Aはりんごが好きでない」という推論が正しいかどうか判断します。

いちごが○なのは3と11と15なので、Aはこのいずれかです。
ところが、もしAが3に該当する場合、りんごが○(=好き)と回答していることになります。

したがって、「Aはりんごが好きでない」というのは確実ではなく、3の推論は誤りとなります。

りんごみかんぶどういちご
×
×
××
×
××
××
×××
×
10××
11××
12×××
13××
14×××
15×××
16××××

選択肢4の正誤:○×の話は真偽表で

「以上/以下」とか「する/しない」の二者択一の話なので、ここでも真偽表が有効です。

あり得るすべてのケースを○×で書き出します。(下表)

まず、「1日の勉強時間が3時間以上または平均の睡眠時間が8時間以上の生徒は、毎朝必ず先生にあいさつをし、かつテストの正答率が80%以上である」より、勉強あるいは睡眠が○なのに、あいさつと正答率のいずれかが×のパターン(下表の2と3と4と6と7と8と10と11と12)は消えます。

この元で、推論「Bが朝先生にあいさつをしない日があり、かつテストの正答率が85%であることが分かったとすると、Bの1日の勉強時間は3時間より少なく、かつ平均の睡眠時間が8時間より少ない」が正しいかどうかを判断します。

「Bが朝先生にあいさつをしない日があり、かつテストの正答率が85%である」より、Bは15に該当する生徒です。
15は勉強と睡眠がいずれも×なので、推論「Bの1日の勉強時間は3時間より少なく、かつ平均の睡眠時間が8時間より少ない」は正しいことになります。

よって、4の推論は正しいといえます。

勉強3時間睡眠8時間あいさつする正答率80%
×
×
××
×
××
××
×××
×
10××
11××
12×××
13××
14×××
15×××
16××××
モクセイ
モクセイ

高校生の筆者は先生にあいさつとかしてなかったなぁ

選択肢5の正誤:二者択一なら真偽表で

4つの項目(将来住みたい、まちづくりに関心、ボランティア活動、住み心地)に対する二択の調査なので、ここでも真偽表を使います。(下表)

まず、「将来はX市に住みたいと回答した生徒は、X市のまちづくりに関心がない」より、「住みたい」が○なのに「まちづくり」も○のパターン(下表の1と2と3と4)は消えます。

また、「ボランティア活動に参加したいと回答した生徒は、X市の住み心地が良いと回答した」より、「ボランティア」が○で「住み心地」が×のパターン(下表の6と10と14)は消えます。

さらに、「ボランティア活動に参加したくないと回答した生徒は、X市のまちづくりに関心がないと回答した」より、「ボランティア」が×なのに「まちづくり」が○のパターン(下表の11)は消えます。

これらを元に、「X市の住み心地が良くないと回答した生徒は、将来はX市に住みたくないと回答した」が正しいかどうかを判断します。

「X市の住み心地が良くないと回答した生徒」は、8か12か16のいずれかに該当します。
しかし、8に該当する生徒はX市に住みたいと回答しているので、「将来はX市に住みたくないと回答した」は確実とはいえません。

よって、5の推論は誤りです。

住みたいまちづくりボランティア住み心地
×
×
××
×
××
××
×××
×
10××
11××
12×××
13××
14×××
15×××
16××××

以上より、4が正解です。

おわりに:推論は命題と真偽表で解ける

お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?

推論問題を見たら、まずは「命題」と「真偽表」のどちらが有効か?を考えましょう。

解説では前半と後半、問題の内容によって命題と真偽表を使い分けています。
例年、第1問目は選択肢の一つ一つが独立したタイプの論理問題が出題されています。
解法のポイントを念頭に置いて、最短ルートで正誤を判断しましょう。

推論問題は、本サイトでも何度か扱ってます。
まだ解いてない方や苦手意識のある方は、ぜひ他の問題にもチャレンジしてみてください。

真偽表については、4つの項目○×を調べるようなケースは大体これで解決します。
項目4つのそれぞれに○×があるだけですから、全て書き出して考えてもそれほど手間はありません。

モクセイ
モクセイ

たかだか\(2^4=16\)通り

とはいえ、本番では時間に追われる中で16通りを全て書き出さなくてはならないので、表をすぐに用意できるように練習しておきましょう
特に、重複やヌケ・モレには注意してください。
初見で解けなかった場合も、解答を見たあとに真偽表を真似して書いてみるだけでも、いい練習になると思います。
数的処理の推論は対策を万全にすれば貴重な得点源になり得ます。
数的処理が苦手な方も、ココをクリアできるようにがんばりましょう!

最後までお読みいただきありがとうございました!

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次回もお楽しみに!

略解

1:×
前半部分の分かっていることの内容を命題の形式で表すと、次のようになる。

\[
(コピー用紙の消費が平均以上)\Rightarrow(会議の件数が50以上) \\
(ホッチキスの消費が平均以上)\Rightarrow(会議の件数が50以上)
\]

分かりやすさのため、問題文の内容を2分割して表した。

これに対し、証明したい命題は以下である。

\[
(\overline{ホッチキスの消費が平均以上})\Rightarrow(\overline{会議の件数が50以上})
\]

分割した命題から、「\((\overline{ホッチキスの消費が平均以上})\Rightarrow\)」の形を導くことは不可能である。
つまり、与えられた情報から証明したい命題が真であることを導き出すことはできない。

したがって、1の推論は正しくない。

2:×
分かっていることを命題で表すと、以下のようになる。

\[
(朝食を必ず食べる)\Rightarrow(\overline{通勤時間が1時間以上}) \\
(読書の時間が1時間以上)\Rightarrow(通勤時間が1時間以上)
\]

2つ目の命題の対偶を取ると
「\((通勤時間が1時間以上)\Rightarrow(\overline{朝食を必ず食べる})\)」
であるから、三段論法により次の命題も真である。

\[
(読書の時間が1時間以上)\Rightarrow(\overline{朝食を必ず食べる})
\]

これに対し、証明したい命題は以下である。

\[
(\overline{読書の時間が1時間以上})\Rightarrow(朝食を必ず食べる)
\]

これは三段論法で得られた命題の裏である。
よって、証明したい命題は必ずしも真とは言えず、2の推論は正しくない。

3:×
真偽表を作って考える。

「りんごが好きと答えた人はみかんまたはぶどうが好きと答え」および「ぶどうが好きと答えた人はいちごが好きでないと答えた」より、下表の1と5と7と8と9と13は候補から外れる。

この元で、「Aという人物が、いちごが好きと答えたことが分かったとすると、Aはりんごが好きでない」という推論が正しいかどうかを判断すると、Aは3と11と15のいずれかに該当するが、3の場合りんごも好きと回答しているので、推論は正しくない。

4:○
真偽表を使って解く。

「1日の勉強時間が3時間以上または平均の睡眠時間が8時間以上の生徒は、毎朝必ず先生にあいさつをし、かつテストの正答率が80%以上である」より、下表の2と3と4と6と7と8と10と11と12は候補から外れる。

この元で、推論「Bが朝先生にあいさつをしない日があり、かつテストの正答率が85%であることが分かったとすると、Bの1日の勉強時間は3時間より少なく、かつ平均の睡眠時間が8時間より少ない」が正しいかどうかを判断すると、「朝先生にあいさつをしない日があり、かつテストの正答率が85%である」より、Bは15に該当する生徒である。
15は勉強と睡眠がいずれも×であるから、推論「Bの1日の勉強時間は3時間より少なく、かつ平均の睡眠時間が8時間より少ない」は正しい。

5:×
真偽表を使って解く。

「将来はX市に住みたいと回答した生徒は、X市のまちづくりに関心がない」より、下表の1と2と3と4は候補から外れる。
また、「ボランティア活動に参加したいと回答した生徒は、X市の住み心地が良いと回答した」より、下表の6と10と14は候補から外れる。
さらに、「ボランティア活動に参加したくないと回答した生徒は、X市のまちづくりに関心がないと回答した」より、下表の11は候補から外れる。

これらを元に、「X市の住み心地が良くないと回答した生徒は、将来はX市に住みたくないと回答した」が正しいかどうかを判断すると、「X市の住み心地が良くないと回答した生徒」は、8か12か16のいずれかに該当するが、8に該当する生徒はX市に住みたいと回答しているので、「将来はX市に住みたくないと回答した」は確実とはいえず、推論は正しくない。

以上より、正解は4である。

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