- 数的処理の「方程式」の解き方が分かる
- オリジナルの演習問題を例に、本番で使える「解法のポイント」を学べる
- どこよりも詳しい解説で、過去問レベルの問題を完全理解
→数的処理の「あと一点」が実現!
こんにちは!
公務員試験の数的処理解説サイト「数的処理の穴場」へようこそ。
今回のテーマは……「方程式」こういう影の薄い単元は、他に気を取られて手薄になりがち。
対策はバッチリでしょうか?

影薄いとか言うなや
中学校から教わりますが、過去問レベルともなると結構ムズカシイ。
それでも、解き方の基礎的なところは意外と似通っていたりします。
ここでは、そんな方程式の問題に共通する、まさに「鉄板の」解き方を紹介します。
講義:方程式にはこの3ステップ
- 未知数を文字でおく
- 数量の関係を式にする
- 連立させて解く
順に説明します。
方程式の解き方【1】:未知数を文字でおく
最初に何を文字でおくか、が明暗を分けます。
求めたい数量を\(x\)とするのがセオリー。
ただし、求めたい数量ではない別の数量を\(x\)とする方が便利な場合もあります。
その場合は\(x\)を求めたあと、既知の関係を使って間接的に求めたい数量を導き出すことになります。
ありがちなのが、「速さを求めよ」という問題で時間の方を文字でおいて解く、というパターン。
速さについて直接解こうとすると、分数が出てきて計算が煩雑になる場合があるんです。
こうしたときは、時間を求めてから\(v=\frac{l}{t}\)に当てはめて速さを求める方がベター。

速さを文字でおいても一応は解けるけどね
追加で他の数量を\(y\)、\(z\)などとして補助的に使うケースもあります。
方程式の解き方【2】:数量の関係を式にする
数量を文字でおいたら、方程式を立てていきます。
等しい関係に着目し、与えられた条件を式で表します。
こんな感じで↓
一個150円のりんごを何個か買ったときの合計額は750円
→\(150x=750\)
原則として、未知数と同じ数の方程式が必要です。

ただし整数問題だけは例外
方程式の解き方【3】:連立させて解く
方程式が出揃ったら、あとは解くだけ。
式が複数ある場合は連立方程式として処理します。
以上が、方程式をテーマにした問題の基本的な解き方になります。
「速さ」や「ニュートン算」はここから派生したものです。
なお、発展形として「不等式」を扱う問題もありますが、それはまた別の機会に。
演習問題:工場AとBを掛け持つ工員の人数
ある工場AとBに勤務している工員の人数は、Aが80人、Bが100人である。いま、両工場の工員が一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数について、次のことが分かっているとき、AにもBにも勤務している工員の人数はいくらか。
ただし、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は、同じ工員であっても工場によって異なるものとする。
- Aに勤務している工員が、Aで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は18個である。
- Bに勤務している工員が、Bで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は24個である。
- Aには勤務しているがBには勤務していない工員が、Aで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は18個である。
- Bには勤務しているがAには勤務していない工員が、Bで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は20個である。
- AにもBにも勤務している工員が、AとBそれぞれで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数を合計すると48個である。
- 20人
- 30人
- 40人
- 50人
- 60人
3
工員の生産能力に関する問題。
AとBは独立でなく、「AかつB」があり得ることに注意。
以下、詳しい解説です。
回りくどい説明が嫌な方は、一番下の略解を見てね。
おっと申し遅れました。
解説は筆者、「数的処理の穴場」管理者のモクセイがお送りします。
↑これでも元塾講で国家総合職の筆記合格者

おそすぎる自己紹介
それでは、解説スタート!
解説:文字をおき数値と文字式でイコール
講義の項で学んだ「解法のポイント」に沿って解いてみます。
- 未知数を文字でおく
- 数量の関係を式にする
- 連立させて解く
【1】ベン図の各領域を文字でおく
セオリー通り、「AにもBにも勤務している工員の人数」を\(x\)としてみます。
加えて、A「だけ」に勤務している工員を\(y\)、B「だけ」に勤務している工員を\(z\)とすると、人数の関係から式が得られます。
つまり、
(〜勤務している工員の人数は、)
Aが80人 → \(x+y=80\)
Bが100人 → \(x+z=100\)
ベン図だとイメージしやすいです。

どう?
マウスで描いたにしては頑張ってるでしょ?

被害者が死の間際に書き残してそう
…ちょっとふざけました。
ちゃんと描いたものがこちら↓

【2】数値と文字の2通りで表す
未知数\(x, y, z\)に対し、関係式は2つ。
\(x\)を求めるには、少なくともあと1つは式を立てる必要があります。
残り1式は、平均個数に関する条件から立式します。
一ヶ月の生産個数の合計を2通りに表し、=(イコール)で結んでください。
以下、条件を上から順に使っていきます。
右辺:合計数を数値で表す
1つ目の条件Aに勤務している工員が、Aで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は18個である
:
Aの工員は全部で80人、一人あたり18個
→18×80=1440(個)
2つ目の条件Bに勤務している工員が、Bで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は24個である
:
Bの工員は全部で100人、一人あたり24個
→24×100=2400(個)
AとBを合わせると、1440+2400=3840(個)
言葉で書くと…
3840=「Aだけ+AかつB」+「Bだけ+AかつB」
「AかつB」を二重に数えてます。
影分身した\(x\)人が、同じ時間にAとBで同時に製品を作ってることになってますが、これでOK。
(理由は後ほど)

この表現にピンときたらNARUTO世代
左辺:合計数を文字で表す
3つ目の条件Aには勤務しているがBには勤務していない工員が、Aで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は18個である
:
Aオンリーの工員は全部で\(y\)人、Aで一人あたり18個
→18×\(y\)=18\(y\)(個)
4つ目の条件Bには勤務しているがAには勤務していない工員が、Bで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は20個である
:
Bオンリーの工員は全部で\(z\)人、Bで一人あたり20個
→20×\(z\)=20\(z\)(個)
5つ目の条件AにもBにも勤務している工員が、AとBそれぞれで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数を合計すると48個である
:
A&Bの工員は全部で\(x\)人、「Aで」と「Bで」の合計が一人あたり48個
→48×\(x\)=48\(x\)(個)
合わせると、48\(x\)+18\(y\)+20\(z\)(個)
\(x\)の係数の48は、\(x\)人が「Aで」作る個数と「Bで」作る個数が合わさっています。
つまり、「AかつB」の個数を二重に数えてるんですが、これは右辺も同じ。
なので、=(イコール)で結ぶことができます。
\(48x+18y+20z=3840\)

右辺の影分身がここで効いてくるんよ
これで舞台は整いました。
あとは機械的に解くだけ。
【3】連立方程式として解く
立てた式をまとめると、
\begin{eqnarray}
x+y &=& 80 \tag{1} \\
x+z &=& 100 \tag{2} \\
48x+18y+20z &=& 3840 \tag{3}
\end{eqnarray}
これらを連立方程式として解けばOK。
(1)を\(y=〜\)、(2)を\(z=〜\)として(3)に代入するのがオススメ。

知りたいのは\(x\)だけだからね
計算すると、\(x=40\)
よって、4が正解です。
おわりに:方程式は文字でおいて式を立て、解くだけ
お疲れ様でした!
今回は、「AかつB」の人数を\(x\)とおいて連立方程式で解く問題でした。
1ヶ月間の生産個数の合計を2通りに表して立式します。
実はこれ、式の立て方としてはごくありふれたものです。
次のような設定の問題を、一度は解いたことがあるはず。
1個250円のりんご\(x\)個と、1個120円\のオレンジ(y\)個を買ったところ、合計額は990円であった。……
こういう問題を解いたときのことを思い出してください。
おそらく、合計額を文字式と数値の2通りで表し、=(イコール)で結んだと思います。
「合計額」が「生産個数」に変わっただけで、本問もやってることは同じ。
個々の解き方を、過去に学んだやり方に結びつけてパターン化していくと、初見の問題に対応できるようになります。
影分身の術使えたらサイトの更新もはかどるんだけどなー
最後までお読みいただきありがとうございました。
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略解
「AにもBにも勤務している工員の人数」を\(x\)、A「だけ」に勤務している工員を\(y\)、B「だけ」に勤務している工員を\(z\)とする。
人数の関係より、次式が成り立つ。
\begin{eqnarray}
x+y &=& 80 \tag{1} \\
x+z &=& 100 \tag{2}
\end{eqnarray}
1つ目の条件「Aに勤務している工員が、Aで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は18個である」
→18×80=1440(個)
2つ目の条件「Bに勤務している工員が、Bで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は24個である」
→24×100=2400(個)
一ヶ月の生産個数:1440+2400=3840(個)
3つ目の条件「Aには勤務しているがBには勤務していない工員が、Aで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は18個である」
→18×\(y\)=18\(y\)(個)
4つ目の条件「Bには勤務しているがAには勤務していない工員が、Bで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数は20個である」
→20×\(z\)=20\(z\)(個)
5つ目の条件「AにもBにも勤務している工員が、AとBそれぞれで、一人あたり一ヶ月間に生産できる製品の平均個数を合計すると48個である」
→48×\(x\)=48\(x\)(個)
一ヶ月の生産個数:46\(x\)+18\(y\)+20\(z\)(個)
これより、次式を得る。
\begin{eqnarray}
48x+18y+20z &=& 3840 \tag{3}
\end{eqnarray}
式(1)〜(3)を連立させて解くと、\(x=40\)
以上より、3が正解である。
コメント
問題文を読むとxがAとBで製造している製品の個数の合計は48個なので
48x+18y+20z=3840 になると思います
この条件で解くと答えは40人になりました
いつも見てくださりありがとうございます!
解説を作っている途中で、46x→48xと変えたのが反映されずに残っており、途中式が辻褄の合わない状態になっていたようです。
失礼しました。
毎度のご指摘、本当に助かってます。
こういうミスの対策法を一度ちゃんと調べて、記事書こうかな。