道幅の狭い陸上トラックの周回

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本サイト、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。

ブログを書き始めて画面に向かう時間が増えたので、パソコンにブルーライトカットの機能を入れました(redshift-gtkというやつ)。
ブルーライトは肩こりや頭痛の原因になったり、睡眠の質の低下にもつながるらしいので、これを読んでくれている皆さんもどうぞお気をつけください。

前回は、5進法の乗算を題材にした覆面算の問題をやりましたね。
どんな問題で、どんな解き方だったか、今思い出せますか?
忘れてしまった方は、さらっとでいいのですぐに復習することをおすすめします。
数的処理に限らず、新しい知識はあまり時間を置かずに見返すのがコツです。
「思い出す」という経験の積み重ねが、知識の定着につながっていきますよ!
復習がバッチリな方は、本日の問題へ参りましょう!

本日の演習問題

図のように、道幅の広い直線区間ABと道幅の狭い区間ASBからなる陸上競技のトラックがある。いま、二人の走者P、QがSを起点として、ともに反時計回りに走り出すことを考える。Qは、Pがスタートしてから10秒後にスタートし、トラック上を周回する。ただし、二人は区間ABにおいてはすれ違いまたは追い越しが可能であるが、区間ASBではいずれも不可能なため、後ろから追いついた走者は追いついた地点から逆向きに走ることとする。2つの区間SA、SB間の長さはともに60m、区間ABの長さは40mで、P、Qの走る速さはそれぞれ3m/s、5m/sであった。このとき、PとQが最初に正面衝突するのはスタートから何秒後か。なお、方向転換は瞬間的に行われるものとし、コース外を走ることはないものとする。

陸上トラックの全体図

  1. 60秒後
  2. 75秒後
  3. 85秒後
  4. 100秒後
  5. 125秒後

トラックの周回で、「追いつく」とか「出会う」といった瞬間を扱う問題は多いですが、本問ではすれ違える区間に制限があります。
2人の位置が重なる地点はどこなのか、状況の変化を丁寧に追っていくことが必要です。
以下、この問題の詳しい解説になります。
回りくどい説明が嫌な方は、一番下に略解としてコンパクトにまとめてあるので、そこまで読み飛ばしていただいても問題ありません。

それではスタート!

詳しい解説

スタートしてから最初に2人が同じ地点を通過する(=出会う)までは、単なる追いかけっこ問題です。
まずは最初に出会う位置がどこなのか(=すれ違えるのか否か)を知る必要がありそうです。

そこで、スタートから最初に出会うまでに要する時間を\(t_1\)とおくと、以下の関係が成り立ちます。

\[
(Pがt_1[s]の間に走った距離)=(Qがt_1-10[s]の間に走った距離)
\]

すなわち、

\[
3t_1=5(t_1-10) ∴ t_1=25[s]
\]

よって、t_1の時点における2人の位置は、Sから\(3×25=75\)[m]の地点になります。

t1時点におけるPとQの位置
t1時点におけるPとQの位置

これはAB間なので、2人は単純に追い越すことができ、これ以降もただの追いかけっこ問題です。

2人が次に出会うのは、1周(=160m)分の差が付いたときですね。
\(t_1\)からそこまでの時間を\(t_2\)とおけば、

\[
5t_2-3t_2=160 ∴ t_2=80[s]
\]

これは、スタートから\(t_1+t_2=105\)[s]だけ経った時点になります。
ここまでにPが走った距離を求めると、\(75+3×80=315=160×1+155\)[m]
これは、\(t_2\)までにPが1周と155mだけ走ったことを意味します。
Sから155mの地点(=Sから5mだけ後退した地点)は、区間ASBにあるので、後ろから追いついたQが逆向き(=時計回り)に走り始めます。

t1+t2時点におけるPとQの位置
t1+t2時点におけるPとQの位置

今度は互いに向かい合う方向に走ることになります。
ここから次に2人が出会うまでの時間を\(t_3\)とすると、PとQが走った距離の和が1周分に等しいので、

\[
3t_3+5t_3=160 ∴ t_3=20[s]
\]

スタートからの時間は、\(t_1+t_2+t_3=125\)[s]です。
\(t_2〜t_3\)の間にPが走った距離は、\(3×t_3=60\)[m]
Pがトータルで走った距離は、\(315+60=375=160×2+55\)[m]
よって、この時点ではPとQはSから反時計回りに55mだけ進んだ位置にいることになります。

t1+t2+t3時点におけるPとQの位置
t1+t2+t3時点におけるPとQの位置

これは区間ASBに該当するので、2人はすれ違うことなく正面衝突します。

したがって、5が正解となります。

おわりに

お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?

すれ違える区間に制限のある、コース周回の問題でした。
出会うタイミングに注意して、状況の変化を丁寧に追ってやれば、正解にたどり着くことができます。
そうはいっても、本試験でそんな悠長に考えていられる時間はあまりないかもしれませんね。
数的処理は時間との戦いであり、答えた者勝ちなので、いち早く正解にたどり着く能力も重要です。
例えば、本問では\(t_1+t_2=105\)[s]で正面衝突しないことが分かった時点で「5が正解」と決まってしまいます(気づいた方もたくさんいると思いますが)。
105[s]の時点で終わらないのであれば、それ以上の時間を表す選択肢は5しかないからです。
今回のように、選択肢がヒントになる場合というのは本サイトでも何度か取り上げています。
(よければそちらものぞいてみてください)
本試験なら105[s]の時点で5にマークして次に進むのが賢明でしょう。
もちろん、日頃の勉強では正解を導けるように解法を最後まで追うのがいいですが、本番を意識した演習であれば、こうした抜け道を見つけることも得点アップにつながりますよ!

本サイトでは、今後もこうした演習用の問題をアップしていく予定なので、ブックマークなどして気軽に訪れてもらえたらうれしいです。
また、運営のやる気UPと記事のクオリティアップにつながりますので、ご意見やご感想などありましたら、お気軽にコメントにてお知らせください!

次回もお楽しみに!

略解

スタートから最初に出会うまでに要する時間を\(t_1\)とおくと、

\[
3t_1=5(t_1-10) ∴ t_1=25[s]
\]

\(t_1\)の時点における2人の位置は、Sから\(3×25=75\)[m]の地点である。
これは区間ABの範囲内なので、QはPを追い越して同じ方向に走り続ける。

2人が次に出会うのは、走った距離の差が160mとなるときである。
\(t_1\)からそこまでの時間を\(t_2\)とおけば、

\[
5t_2-3t_2=160 ∴ t_2=80[s]
\]

このとき、スタートから\(t_1+t_2=105\)[s]だけ経過している。
ここまでにPが走った距離を求めると、\(75+3×80=315=160×1+155\)[m]
よって、このタイミングで2人はSから反時計回りに155mだけ進んだ位置にいることになる。
この地点では追い越し不可能なので、Qはここから時計回りに走り出す。

次に2人が出会うまでの時間を\(t_3\)とすると、PとQが走った距離の和が1周分に等しいから

\[
3t_3+5t_3=160 ∴ t_3=20[s]
\]

このとき、スタートから経過した時間は、\(t_1+t_2+t_3=125\)[s]
\(t_3\)の間にPが走った距離は、\(3×t_3=60\)[m]
Pがトータルで走った距離は、\(315+60=375=160×2+55\)[m]
これより、PはSから反時計回りに55mだけ進んだ地点にいることになる。
この地点でPとQはすれ違うことができないから、正面衝突することになる。

よって、正解は5である。

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