- 確率・場合の数の攻略に役立つ解き方のパターンを学べる
- 過去問の類題を例に、本番で役立つ「解法のポイント」の使い方を学べる
- どこよりも詳しい解説で、本試験レベルの問題を完全理解
→数的処理の「あと一点」が実現!
こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本サイト、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。
「確率・場合の数」といえば、頻出なのにもかかわらず苦手意識を持つ方も少なくない、数的処理の鬼門です。
事象のカウントに分数の約分……
少しのミスが誤答につながります。
筆者も同じのを2回数えたり、ケアレスミス多かったなー
正答を導き出すには、樹形図や和の法則、積の法則といった道具から適切な解法を選び出す必要があります。
苦手な方には、そもそも適切な解き方を選ぶことも難しいかもしれません。
今回は、「確率・場合の数」で頻出の解法のパターンを紹介します。
後半は過去問の類題を一緒に解いて理解してもらい、本番で使える解き方を身につけていってもらいます!
講義:確率(&場合の数)の解き方5パターン
確率(と場合の数)の問題は、次の5通りの解法を頭に入れておけばOKです。
-
事象をカウントし定義から求めるやり方
- 樹形図や書き出しによる数え上げ
- 組み合わせや順列を使った計算
-
確率から確率を求めるやり方
- 排反事象の足し算(和の法則)
- 独立事象のかけ算(積の法則)
- 全体から引く(余事象の確率)
これらの方法は、いずれか一つで解ける場合もありますが、複雑な問題だといくつか組み合わせて解くことになります。
事象をカウントし定義から求めるやり方
【1】樹形図や書き出しによる数え上げ
条件に合う事象をひたすら列挙して数え上げる、ちょっと力技な解法です。
両手で数えられる程度のパターン数を扱うケースや、途中で分岐を生じるような場合に有効です。
順番を気にするなら樹形図、順番ではなくグループ(組み合わせ)が問題なら書き出しを使うと解ける傾向があります。
(問)
(答)
【確率】問題2 | 公務員試験数的処理解法テクニック KOMARO
上の例題では、最も長い辺が4〜6のいずれかに限られることに着目し、全パターンを数え上げてます。
最大の整数が4〜6なら、せいぜい\({}_5\mathrm{C}_2=10\)通り
順番ではなく「組」が重要なことから、書き出しによる方法が有効です。
({6,5,4}も{6,4,5}も{5,6,4}も同じ)
樹形図を書いて考えてもOKです。
【2】組み合わせや順列を使った計算
組み合わせや順列を使って機械的にカウントする方法もあります。
扱う事象が多すぎる場合に有効です。
書き出しても書き出してもキリがないときは、このやり方を検討してみてください。
ちなみに、確率の分母はほぼほぼこの方法で求めることになります。
何十通り、何百通りもある全事象を書き出すのはさすがにキビシイ
(問)
(答)
【確率】問題1 | 公務員試験数的処理解法テクニック KOMARO
上の例題では、余事象を経由して確率を求めてます。
17本のはずれくじ(a,b,c,d,e,…)から2本を取り出すときの取り出し方は、
(a,b)、(b,c)、(b,e)、(c,e)、……
と、ちょっと考えただけでもたくさん出てきます。
こういうケースは、(答)にもあるように、組み合わせの考え方を活用するのが正解です。
確率から確率を求めるやり方
以下の解き方は、既知の確率から別の事象の確率を求めるときに有効です。
3回コインを投げて表が2回出る確率、とかね(表の確率は1/2で既知)
【3】排反事象の足し算(和の法則)
2つの事象AとBが同時に起こらない(=排反事象である)場合、「AまたはB」の確率はAの確率とBの確率の足し算で求められます。
……というのが、和の法則です。
実戦的には、排反なケース(AとB)に場合分けしたあと、それらを足し合わせて「AまたはB」の確率を求める、という使い方をします。
【4】独立事象の掛け算(積の法則)
2つの事象AとBがあって、これらが互いに影響し合わずに起こる(=独立事象である)とき、「AかつB」の確率はAの確率とBの確率の掛け算で求められます。
……これが、積の法則です。
実戦的には、AかつBの確率を直接求めるのが難しいときに、「Aの確率」と「Bの確率」を別々に求めて掛け合わせる、という使い方をします。
【5】全体から引く(余事象の確率)
Aが起こる確率は、「全事象の確率(=1)」から「Aが起こらない確率」を引くことでも求められます。
「少なくとも〜」という表現を見たら、このやり方です。
(問)
ある高速道路にはA、B、Cのインターチェンジがこの順に並んでおり、
AB間とBC間を通るときに渋滞に遭う確率はそれぞれ0.3と0.2である。A~
Cまで高速道路を走行するとき、AB間とBC間の少なくとも一方で渋滞に遭
う確率はいくらか。
1. 0.34
2. 0.39
3. 0.44
4. 0.49
5. 0.54(答)
「1-渋滞に遭わない確率」で考えればよい。
公務員試験過去問 数的推理 確率 | 問題野郎
よって「1 - (0.7×0.8)=0.44」となる。
上の例題は、和の法則と余事象、両方を使って解いてます。
「少なくとも一方で〜」という表現があるので、余事象の確率(=ABとBCでいずれも渋滞に遭わない確率)が有効です。
さらに、「ABで渋滞に遭わない」という事象と、「BCで渋滞に遭わない」という事象は互いに影響し合わない(=独立事象)ので、余事象の確率は「ABで渋滞に遭わない確率」と「BCで渋滞に遭わない確率」の積となります。
演習問題:トーナメントの決勝戦に勝ち残る確率
あるドッジボールの大会にA〜Fの6チームが参加し、次図に示すトーナメント表にしたがって勝敗を競うことになった。各チームの配置(「一」から「六」のいずれか)はくじ引きにより無作為に決められる。各チームは実力が伯仲しており、一方が他方に勝利する確率および敗北する確率はともに\(\frac{1}{2}\)であるとする。ただし、2回戦のみ、「三」(または「六」)のチームがそれぞれ対戦相手に勝つ確率は\(\frac{2}{3}\)、負ける確率は\(\frac{1}{3}\)であるとする。
このとき、AとBのいずれか一方でも3回戦まで勝ち残る確率はいくらか。
- \(\frac{311}{540}\)
- \(\frac{101}{180}\)
- \(\frac{26}{45}\)
- \(\frac{7}{12}\)
- \(\frac{65}{108}\)
1
トーナメント戦で特定のチームが決勝まで勝ち残る確率を求める問題です。
確率といえば場合分けですが、問題はどう分けるか、ですね。
以下、詳しい解説になります。
回りくどい説明が嫌な方は、一番下に略解としてコンパクトにまとめてあるので、そこだけ読んでいただくのでも大丈夫です。
それでは、解説スタート!
解説
円順列のように、Aを固定して考えます。
その上でBが何番なのかで場合分けします。
Aの配置で場合分けしてから、さらにBが何番なのかの場合分けをする、ということです。
入れ子構造の場合分けね
本問では、\(\frac{1}{2}\)とか\(\frac{2}{3}\)とか、勝敗の確率がすでに与えられています。
上で紹介した「解法のポイント」でいう、「確率から確率を求めるやり方」のパターンです。
和の法則や積の法則、余事象を場面に応じて使い分けて解きます。
-
事象をカウントし定義から求めるやり方
- 樹形図や書き出しによる数え上げ
- 組み合わせや順列を使った計算
-
確率から確率を求めるやり方
- 排反事象の足し算(和の法則)
- 独立事象のかけ算(積の法則)
- 全体から引く(余事象の確率)
「一」〜「三」と「四」〜「六」の対称性より、Aを「一」〜「三」のいずれかに固定した場合を考えれば十分です。
ただし、Aから見たBの配置は対称とならないので、Aを固定したあとのBの配置は5箇所全ての場合分けが必要です。
例えばAが「一」なら、Bは「二」〜「六」全ての場合分けが必要になる
以下、Aの配置を固定した上でBが何番かによって場合分けする、という流れで考えます。
(i)Aが「一」の場合:和の法則と積の法則を使い分ける
くじ引きの結果、Aが「一」になる確率は\(\frac{1}{6}\)です。
以上より、(i)の場合に題意を満たす確率は、
\(\frac{1}{6}×(\frac{1}{15}+\frac{1}{6}+\frac{11}{90}+\frac{13}{18})=\frac{97}{540}\)
通分の計算ミスに注意
(ii)Aが「二」の場合
この場合は(i)と同じなので、題意を満たす確率は\(\frac{97}{540}\)です。
(iii)Aが「三」の場合:余事象にも注目
まず、Aが「三」になる確率は\(\frac{1}{6}\)です。
(iii)の場合に題意を満たす確率は、
\(\frac{1}{6}×(\frac{5}{6}+\frac{13}{45}+\frac{8}{45})=\frac{13}{60}\)
通分の計算ミスに注意(ダメ押し)
(i)〜(iii)より、\(\frac{97}{540}+\frac{97}{540}+\frac{13}{60}=\frac{311}{540}\)
通分の計さ(もう黙って)
よって、1が正解です。
おわりに:確率は和の法則と積の法則、余事象を使い分けて
お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?
確率(&場合の数)を解くための道具は5つ。
数え上げ、順列&組み合わせ、和の法則、積の法則、余事象の使い分けが重要です。
場合分けの先で場合分けが必要になる、確率の問題でした。
場合分けの入れ子構造を念頭に置きつつ、自分がいまどのケースを扱っているのか、迷わないように進めましょう。
数え忘れや同じものを重複して数えたりしないように注意です。
国家総合職の数的処理において、確率はかなり重要度の高い分野です。
場合の数と併せて、ほぼ毎年のように出題があります。
確率や場合の数で必須の「場合分け」は、判断推理にも必要な考え方なので、確実に習得しておきたいところ。
苦手であれば易しい問題から徐々にステップアップしましょう。
とにかく、あり得るケースをもれなく検討することが肝要です。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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次回もお楽しみに!
略解
「一」〜「三」と「四」〜「六」の対称性より、Aを「一」〜「三」のいずれかに固定して考えることができる。
(i)Aが「一」の場合
Aが「一」になる確率は、\(\frac{1}{6}\)
(i-a)Bが「二」の場合
Bが「二」になる確率は、\(\frac{1}{5}\)
1回戦の試合ではAとBのいずれかが必ず2回戦に進むので、題意を満たす確率は\(1\)
2回戦でA(またはB)が勝つ確率は\(\frac{1}{3}\)
よって、このケースで題意を満たす確率は、
\(\frac{1}{5}×1×\frac{1}{3}=\frac{1}{15}\)
(i-b)Bが「三」の場合
Bが「三」になる確率は、\(\frac{1}{5}\)
1回戦でAが勝ったとすると(確率\(\frac{1}{2}\))、2回戦はAとBの試合であるからどちらが勝っても題意を満たす(確率\(1\))。
1回戦でAが負けた場合(確率\(\frac{1}{2}\))、2回戦で「二」のチームとBが試合し、Bが勝つ確率は\(\frac{2}{3}\)
以上より、このケースで題意を満たす確率は、
\(\frac{1}{5}×(\frac{1}{2}×1+\frac{1}{2}×\frac{2}{3})=\frac{1}{6}\)
(i-c)Bが「四」または「五」の場合
Bが「四」または「五」になる確率は、\(\frac{2}{5}\)
Aが3回戦に進む確率は\(\frac{1}{2}×\frac{1}{3}=\frac{1}{6}\)なので、3回戦に「進めない」確率は、\(1-\frac{1}{6}=\frac{5}{6}\)
Bが3回戦に「進めない」確率も、同じく\(\frac{5}{6}\)である。
これより、AもBも3回戦に進めない確率は、\(\frac{5}{6}×\frac{5}{6}=\frac{25}{36}\)
これより、AまたはBが3回戦に「進む」確率は、\(1-\frac{25}{36}=\frac{11}{36}\)
よって、このケースで題意を満たす確率は、\(\frac{2}{5}×\frac{11}{36}=\frac{11}{90}\)
(i-d)Bが「六」の場合、
Bが「六」になる確率は、\(\frac{1}{5}\)
Aが3回戦に「進めない」確率は、\(\frac{5}{6}\)
Bが3回戦に「進めない」確率は、\(\frac{1}{3}\)
よって、AまたはBが3回戦に「進む」確率は、\(1-\frac{5}{6}×\frac{1}{3}=\frac{13}{18}\)
以上より、(i)の場合に題意を満たす確率は、
\(\frac{1}{6}×(\frac{1}{15}+\frac{1}{6}+\frac{11}{90}+\frac{13}{18})=\frac{97}{540}\)
(ii)Aが「二」の場合
(i)と同様に、題意を満たす確率は、\(\frac{97}{540}\)
(iii)Aが「三」の場合
Aが「三」になる確率は、\(\frac{1}{6}\)
(iii-a)Bが「一」または「二」の場合
Bが「一」または「二」となる確率は、\(\frac{2}{5}\)
1回戦でBが勝った場合(確率\(\frac{1}{2}\))、2回戦ではAかBのが必ず3回戦に進む(確率\(1\))。
1回戦でBが負けた場合(確率\(\frac{1}{2}\))、2回戦でAが勝って3回戦に進む確率は\(\frac{2}{3}\)
以上より、このケースで題意を満たす確率は、
\(\frac{1}{2}×1+\frac{1}{2}×\frac{2}{3}=\frac{5}{6}\)
(iii-b)Bが「四」または「五」の場合
Bが「四」または「五」となる確率は、\(\frac{2}{5}\)
Aが3回戦に「進まない」確率は、\(\frac{1}{3}\)
また、Bが3回戦に進む確率は、1回戦に確率\(\frac{1}{2}\)で勝利し、かつ2回戦で確率\(\frac{1}{3}\)で勝利する場合なので、\(\frac{1}{2}×\frac{1}{3}=\frac{1}{6}\)
これより、Bが3回戦に「進まない」確率は、\(1-\frac{1}{6}=\frac{5}{6}\)
よって、AもBも3回戦に「進まない」確率は、\(\frac{1}{3}×\frac{5}{6}=\frac{5}{18}\)
これより、AまたはBが3回戦に「進む」確率は、\(1-\frac{5}{18}=\frac{13}{18}\)
以上より、このケースで題意を満たす確率は、\(\frac{2}{5}×\frac{13}{18}=\frac{13}{45}\)
(iii-c)Bが「六」の場合
Bが「六」となる確率は、\(\frac{1}{5}\)
Aが3回戦に「進まない」確率は、\(\frac{1}{3}\)
また、Bが3回戦に「進まない」確率も、\(\frac{1}{3}\)
よって、AもBも3回戦に「進まない」確率は、\(\frac{1}{3}×\frac{1}{3}=\frac{1}{9}\)
これより、AまたはBが3回戦に「進む」確率は、\(1-\frac{1}{9}=\frac{8}{9}\)
以上より、このケースで題意を満たす確率は、\(\frac{1}{5}×\frac{8}{9}=\frac{8}{45}\)
よって、(iii)の場合に題意を満たす確率は、
\(\frac{1}{6}×(\frac{5}{6}+\frac{13}{45}+\frac{8}{45})=\frac{13}{60}\)
したがって、1が正解である。
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