食塩の混合比

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本ブログ、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。

前回は5つの推論の正誤を判断する問題でしたね。
どんな解法を使ったか覚えてますか?
人はせっかく勉強しても時間が経つと忘れてしまうので(悲しいですが……)、ちょくちょく思い出すクセを付けるといいですよ。
今回も早速参りましょう!まずは問題文から。

本日の演習問題

異なる会社が製造する3種類の食塩A、B、Cがそれぞれ一定の割合で混合された食塩水がある。いま、A、B、Cを1:2:3で含む混合溶液Pは600g、7:3:2である混合溶液Qは800g、2:3:1である混合溶液Rは500gある。ここから、まずPとQを1:1で取り出して混ぜ合わせ、さらにRを400g加えることにより、混合溶液Sを作る。SにおけるA、B、Cの混合比を調べると、いずれか2種類が同じ割合で含まれることが分かった。
このとき、SにおけるA、B、Cの混合比A:B:Cとして正しいのは次のうちどれか。

  1. 3:5:3
  2. 5:5:7
  3. 4:7:7
  4. 11:11:6
  5. 13:13:10

食塩水の混合比を求める問題ですね。
3種類の溶質(食塩)が使われている点が目新しく感じられます。
以下、詳しい解説になりますが、回りくどい説明が苦手な方は一番下の略解まで飛んでもらっても大丈夫です。

それではスタート!

詳しい解説

食塩水の問題では、食塩の量に注目するとうまくいくことが多いです。
普通、食塩の割合はパーセントで与えられるところ、今回は混合比なので戸惑った方もいるかもしれませんが、混合比もパーセントも「割合」であるという点は同じです。
ここでは混合溶液Sに含まれる食塩の量に注目しましょう。
Sは3種類の混合溶液P、Q、Rから作られますが、問題文だけではPとQをどのくらい混ぜたのかが分からないので、このままではSに含まれるA、B、Cの量を知ることはできませんね。

そこで、PとQの混ぜた量を仮に\(x\) gと設定してみましょう。
(「PとQを1:1で取り出して」という条件から、PとQの混ぜる量は等しく\(x\)です。)
こうすることで、Sに含まれる食塩の量を定式化できます。
例えば、Pの混合比は1:2:3なので、Pから取り出した3種類の食塩A、B、Cの質量はそれぞれ
\[
\mathrm{A}:\frac{1}{6} \times x \mathrm{B} :\frac{2}{6} \times x \mathrm{C} :\frac{3}{6} \times x
\]

Qから取り出した3種類の食塩A、B、Cの質量はそれぞれ

\[
\mathrm{A}:\frac{7}{12} \times x \mathrm{B} :\frac{3}{12} \times x \mathrm{C} :\frac{2}{12} \times x
\]

Rから取り出した3種類の食塩A、B、Cの質量はそれぞれ

\[
\mathrm{A}:\frac{2}{6} \times 400 \mathrm{B} :\frac{3}{6} \times 400 \mathrm{C} :\frac{1}{6} \times 400
\]

よって、Sにおける食塩の混合比A:B:Cは

\begin{eqnarray}
\mathrm{A} :\mathrm{B} :\mathrm{C} \\
&=&\small {(\frac{1}{6}x+\frac{7}{12}x+\frac{2}{6} \times 400) :(\frac{2}{6}x+\frac{3}{12}x+\frac{3}{6} \times 400):(\frac{3}{6}x+\frac{2}{12}x+\frac{1}{6} \times 400)} \\
&=& (2x+7x+1600):(4x+3x+800):(6x+2x+800) \\
&=&(9x+1600):(7x+2400):(8x+800)
\end{eqnarray}

\begin{array}{|c|c|c|c|} \hline
& \mathrm{A} & \mathrm{B} & \mathrm{C}\\ \hline
\mathrm{P} & \frac{1}{6} \times x & \frac{2}{6} \times x & \frac{3}{6} \times x \\ \hline
\mathrm{Q} & \frac{7}{12} \times x & \frac{3}{12} \times x & \frac{2}{12} \times x \\ \hline
\mathrm{R} & \frac{2}{6} \times 400 & \frac{3}{6} \times 400 & \frac{1}{6} \times 400 \\ \hline
計 & 9x+1600 & 7x+2400 & 8x+800 \\ \hline
\end{array}

問題文の第4文、「A、B、Cの混合比を調べると、いずれか2種類が同じ割合で含まれる」によると、次のいずれかの場合があり得ることになります。
(i)A=B
(ii)A=C
(iii)B=C

(i)A=Bの場合
\(9x+1600 = 7x+2400\)を解くと、\(x=400\)

(i)A=Cの場合
\(9x+1600 = 8x+800\)を解くと、\(x=-800\)

(iii)B=Cの場合
\(7x+2400=8x+800\)を解くと、\(x=1600\)

\(x\)の値が3つ得られましたね。正解はどれでしょう?
ここで、\(x\)の設定について思い出しましょう。
\(x\)はPから取り出した水溶液の量として設定しましたよね。
ということは、\(x\)は必ず正の値であり、かつPの総量である600gを超えることはありません。
この条件に適合するケースは、(i)A=Bの場合のみで、\(x=400\)gです。

すると、SにおけるA:B:Cが具体的に求められます。

\begin{eqnarray}
\mathrm{A}:\mathrm{B}:\mathrm{C} &=& 5200:5200:4000 \\
&=& 13:13:10
\end{eqnarray}

よって、正解は5となります。

おわりに

お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?

溶けている食塩が3種類であることと、食塩の割合がパーセンテージではなく比で与えられている点は見慣れないポイントでしたね。
溶けている食塩の量に注目することが念頭にあれば、取り出したPとQの量を文字で置く、という発想にもつながりやすかったのではないでしょうか。
国家総合職の数的処理では、食塩水を題材にした出題はあまりありませんが、参考書に載っているような易しめの問題くらいはきちんと対策したいですね。
今後出題されるかも、というのはもちろん、比の扱い方などは他の問題にも通じるところがあります。
なお、Sに含まれる食塩の量を求めたいために、PのA:B:Cをk:2k:3kなどと置いてしまうと迷宮入りします(私も最初はそうやって解こうとして泥沼にハマりました笑)。

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次回もお楽しみに!

略解

取り出したPとQの量を\(x\)gとおき、Sに含まれるA、B、Cの質量に注目すると、混合比は
\begin{eqnarray}
\mathrm{A} :\mathrm{B} :\mathrm{C} \\
&=&\small {(\frac{1}{6}x+\frac{7}{12}x+\frac{2}{6} \times 400) :(\frac{2}{6}x+\frac{3}{12}x+\frac{3}{6} \times 400):(\frac{3}{6}x+\frac{2}{12}x+\frac{1}{6} \times 400)} \\
&=& (2x+7x+1600):(4x+3x+800):(6x+2x+800) \\
&=&(9x+1600):(7x+2400):(8x+800)
\end{eqnarray}
このうち、2種類が同じ割合で含まれるので、A=B、A=C、B=Cの3通りに場合分けすると
(i)A=Bの場合
\(9x+1600=7x+2400\)より、\(x=400\)
(ii)A=Cの場合
\(9x+1600=8x+800\)より、\(x=-800\)
(iii)B=Cの場合
\(7x+2400=8x+800\)より、\(x=1600\)
ここで、PとQの総量はそれぞれ600g、800gなので、\(x\)はたかだか600gである。
これに該当するのは(i)のみである。
よって\(x=400\)であり、A:B:C=\(5200:5200:4000=13:13:10\)

以上から、正解は5である。

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