市庁舎の建設にかかる費用の分配

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本サイト、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。

20時までに投稿できないと、なぜか負けた気がする。
いったい私は何と戦っているんだろうか。

前回は、特定の順番でくじを引いたときの得点を求める問題をやりましたね。
国家総合職の判断推理の中でもかなりのウェイトを占める、順序関係(または対応関係)の問題なので、解いてない方はぜひ挑戦してみてください。
もう解いた方も、自力で解けるようになるまで繰り返しチャレンジすることをおすすめします。
数的処理は選択式の試験である以上、最後まで解ききらないと得点には結びつきません。
「読んで理解する」ことと、「自力で解ける」ことの間には思った以上の差があります。
普段の問題演習では、両者のギャップを埋めていく取り組みが必要となります。
それこそが「問題の解き直し」なのです。
解き直しによって、解説を読んだだけでは気づかなかった新たな視点から問題を検証できるようになります。
そうした検証を重ねていく度に解法への理解度が高まり、やがて本番で全く新しい問題に対応する力になるのです。
過去問演習では、数をこなすことももちろん重要ですが、ぜひ一問一問への理解を深めることにも気を配ってみてください。

復習がバッチリな方は、本日の問題へ参りましょう!

本日の演習問題

X市では、老朽化した現在の市庁舎に代わる新たな市庁舎を建設する。建設にあたり、同市内に本社を置く3つの建設会社A、B、Cが共同出資することになった。市庁舎の建設にかかる費用は次表の通りである。
協議の結果、各社が負担する費用については、「3社が単独で建設する場合にかかる費用の合計」(33.0億円)から「3社が共同で建設する場合にかかる費用の合計」(29.0億円)を差し引いた金額(4.0億円)を3社に配分し、各社が単独で建設した場合の費用から、配分された金額を引くことにより決めることとした。
なお、配分する金額は、次に示す条件を満たすように決定する。

  • 3社はいずれも0円以上の金額を配分される。
  • AとBに配分する金額の合計は、「AとBがそれぞれ単独で建設する場合にかかる費用の合計」から「AとBが共同で建設する場合にかかる費用」を差し引いた金額を上回るように決める。(AとC、BとCについても同様とする)

しかし、この条件を満たす配分が1通りに決まらなかったため、条件を満たすうちで配分が最も多い1社と最も少ない1社との金額の差が最小となるように配分を決めた。このとき、Cが負担する費用はいくらか。

  建設費用(億円)
A単独 16.0
B単独 10.0
C単独 7.0
AとBの共同 22.8
AとCの共同 21.4
BとCの共同 14.5
AとBとCの共同 29.0
  1. 6.0億円
  2. 6.2億円
  3. 6.4億円
  4. 6.6億円
  5. 6.8億円

建設にかかる費用を求める問題です。
設定がかなりややこしいですが、必要な情報を正しく読み取って解答しましょう。
以下、詳しい解説になります。
回りくどい説明が嫌な方は、一番下に略解としてコンパクトにまとめてあるので、そこだけ読んでいただくのでも大丈夫です。

それではスタート!

詳しい解説

設定が複雑で迷子になりやすいので、何をすべきなのかを最初にはっきりさせて、そこに向かうために必要な情報をピックアップしながら進めましょう。

求めるのは「Cが負担する費用」です。
それがどのようにして決まるのかは、「各社が負担する費用については、〜」というところで触れられています。
その内容は以下のように定式化できます。

「Cが負担する費用」=7.0億円ー「4.0億円のCへの配分」

これより、つまりは「4.0億円のCへの配分」が分かれば解答を得ることができるのだと分かりますね。
以下、これを\(c\)とおいて求めます。
(AとBへ配分される金額も、同様にそれぞれ\(a\)、\(b\)とおきます)

配分する金額の条件のうち、1番目はさておき2番目について、最低限配分しなければならない金額を考えてみましょう。
ちょうど、AとBについての例が挙がっているので、まずはこれら2社を扱います。

与えられた表と条件より、\(a+b=(16.0+10.0)-22.8=3.2\)億円(以上)
同様に、\(a+c=(16.0+7.0)-21.4=1.6\)億円(以上)
\(b+c=(10.0+7.0)-14.5=2.5\)億円(以上)

3つの式の辺々を足して2で割ると、\(a+b+c=3.65\)億円……(☆)
これより、\(a=1.15\)億円、\(b=2.05\)億円、\(c=0.45\)億円となります。(最低額)

☆印の通り、最低限の配分額で考えた場合の3社の合計額は4.0億円に届きません。
最低限の金額を配分して余った0.35億円をどうするか、ですが、これに対する答えは問題文の「しかし」以降に指示されています。

つまり、「配分が最も多い1社と最も少ない1社との金額の差が最小となるように配分を決め」ればいいのです。
今のところ、配分が最も多いのはBで、逆に最も少ないのはCですね。
BとCの差を最小にするためには、余った0.35億円を全てCに配分してやればOKです。

すると、A、B、Cの配分額は、それぞれ1.15億円、2.05億円、0.8億円、となります。
このとき、Cが負担する費用は、\(7.0-0.8=6.2\)億円

よって、2が正解です。

おわりに

お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?

建設にかかる負担を適切に配分する問題でした。
問題文のややこしさに辟易した方も多いかと思われますが、フタを開けてみれば3つの未知数を含んだ単なる連立方程式の問題でしたね。
憶測ですが、原題は文章の理解力を試す意図があったのかもしれません。
解説では、3つの方程式が対称式であることを利用し、\(a+b+c=〜\)の形を経由して解いてますが、ダイレクトに未知数を求めるやり方でももちろん構いません。
(配分額の合計が4億円に満たないことを知る必要があるので、どのみち\(a+b+c\)を計算する羽目にはなりますが……)
ただし、対称式の扱い方の一つとして、解説に示した処理法を知っておくと役に立つことがあるかもしれません。

国家総合職の数的処理で、本問のような連立方程式をメインに置いた問題はそう多くはありませんが、適切に未知数を設定して方程式を立てる、というプロセスは文章題には共通で求められるスキルになります。
メジャーどころの分野だと、例えば速さの問題などは、未知数の設定が明暗を分けると言っても過言ではないでしょう。
解答を得るには何を知らなければならないのかを正しく把握し、必要に応じて未知数を文字でおいて対処しましょう。
参考書にはその手の問題が必ず載っているかと思いますので、苦手だと感じたら集中的に対策するのもアリかと思います。
基礎を固めた上の問題演習には、ぜひ本サイトをご活用ください。

本サイトでは、今後もこうした演習用の問題をアップしていく予定なので、ブックマークなどして気軽に訪れてもらえたらうれしいです。
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次回もお楽しみに!

略解

求める値、「Cが負担する費用」は、問題文の「各社が負担する費用については、〜」の部分によると、次式で求められる。

「Cが負担する費用」=7.0億円ー「4.0億円のCへの配分」

以下、「4.0億円のCへの配分」を\(c\)とおき、最低限配分しなければならない金額を考える。
(AとBへの配分額も、それぞれ同様に\(a\)、\(b\)とおく)

与えられた表と条件より、\(a+b=(16.0+10.0)-22.8=3.2\)億円(以上)
同様に、\(a+c=(16.0+7.0)-21.4=1.6\)億円(以上)
\(b+c=(10.0+7.0)-14.5=2.5\)億円(以上)

3つの式の辺々を足して2で割ると、\(a+b+c=3.65\)億円……(☆)
これより、\(a=1.15\)億円、\(b=2.05\)億円、\(c=0.45\)億円(最低額)

☆印の通り、最低限の配分額で考えた場合の3社の配分額の合計は4.0億円に満たない。
余った0.35億円については、問題文の「しかし」以降に指示されている通りにする。
すなわち、「配分が最も多い1社と最も少ない1社との金額の差が最小となるように配分を決め」ればよい。
配分が最も多いのはBで、逆に最も少ないのはCである。
BとCの差を最小にするためには、余った0.35億円を全てCに配分してやればよい。

すると、A、B、Cの配分額は、それぞれ1.15億円、2.05億円、0.8億円、となる。
このとき、Cが負担する費用は、\(7.0-0.8=6.2\)億円

よって、正解は2である。

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