- 速さに関する問題の典型的な解法が分かる
- 過去問の類題を例に、本番で役立つ「解法のポイント」の使い方を学べる
- どこよりも詳しい解説で、本試験レベルの問題を完全理解
→数的処理の「あと一点」が実現!
こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本サイト、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。
今回のテーマは「速さ」です。
速さの公式は小学校で習うもので、定義自体はさほど難しくはありません。
しかし、定義だけで解けるほど単純な問題は、数的処理にはほぼありません。
数的処理で問われるのは、速さの公式を基礎にした応用力です。
状況を図示したり、比や方程式、グラフといった数学の知識も援用する必要があります。
この記事では、数的処理の「速さ」に関する問題を解くためのコツである「解法のポイント」を紹介します。
それから過去問の類題を一緒に解いて理解してもらうことで、本番で使える解法を身につけていってもらいます!
講義:速さを扱った問題の解き方
速さの問題には、いくつか解き方のパターンがあります。
- 方程式を立てる
- 比を使う
- ダイアグラムを描く
以下、一つずつ解説します。
【1】方程式を立てる
未知数を文字でおいて、条件を数式化するやり方です。
文字にするのは速さ/距離/時間のいずれかです。
知りたい数値をそのまま文字でおく場合もあれば、他の数値を求めた後に速さの公式を使って間接的に求める場合もあります。
移動距離が与えられてれば、速さを求めたら時間も分かる
(問)
Aは朝8時に家を出発した。家から公園までは分速50mで歩き、公園から駅までは分速60mで歩いたところ、8時16分に駅に着いた。家から駅までの道のりは900mである。家から公園までの道のりは何mか。(答)
(別解)
上の例題は、道のりを問うたものです。
【速さ 基礎】① | 公務員試験数的処理解法テクニック KOMARO
距離をXとおいて解くやり方が一つ。
もう一つ、時間をXとして求めたあと、速さの公式を使って距離を算出しています。
どちらも方程式を立てて解く方法ですが、ダイレクトに距離を求めてもいいし、時間というパラメータを経由して公式から距離を求めることもできます。
【2】比を使う
比を使って処理する方法もあります。
取っつきづらいですが、慣れれば簡単な計算で解答を出せます。
「\(速さ=\frac{距離}{時間}\)」の公式より、速さの比は距離の比および時間の逆比に等しくなります。
\[
v_{A}:v_{B}=L_{A}:L_{B}=\frac{1}{t_{A}}:\frac{1}{t_{B}}
\]
(問)
長距離走大会にA、Bの2人が参加した。Aがスタートしてから3km地点にいたとき、Bは300m後方にいた。その後Aがゴールしたとき、Bは720m後方にいて、Aがゴールしてから4分後にスタートした。このときAがゴールした時間として正しいのはどれか。ただし、A、Bの2人は同時にスタートし、2人は終始一定の速さで走ったものとする。
1.20分
2.24分
3.28分
4.32分
5.36分(答)
【速さ】問題3 | 公務員試験数的処理解法テクニック KOMARO
正解…5
Aが3000m進んだとき、Bは300m後方、つまり2700m進んでいるので、AとBの速さの比は、
3000:2700=10:9です。
この2人が、スタートからゴールまで、同じ距離を進むのにかかる時間の比は9:10、
その差が4分にあたるので、Aは36分、Bは40分でゴールしたことがわかります。
上の例題では、比を使って時間を求めています。
(距離の比)=(速さの比)=10:9であり、これが「時間の逆比」に等しいので、
\(\frac{1}{t_{A}}:\frac{1}{t_{B}}\)=10:9
つまり、\(t_{A}:t_{B}\)=9:10
ここでは\(t_{B}=t_{A}+4\)なので、
\(t_{A}=\)36です。
【3】ダイアグラムを描く
時間(横軸)に対する位置(縦軸)をグラフ化したものが「ダイアグラム」です。
三角形を描き出して、相似の関係に持ち込んで図形的に解決する方法です。
グラフを描くには上に出てきた速さ/距離/時間の関係や比の関係に対する知識が必要で、ちょっと上級の解法です。
速さは傾きそのものだし、時間や距離の前後関係も把握してなきゃグラフは描けない
ある区間を行ったり来たりする問題には特に有効です。
(問)
ある駅にはA地点からB地点へ向けて動く歩道があります。太郎君はA地点からB地点に向かってこの動く歩道上を毎分55mの速さで、次郎君はB地点からA地点に向かって普通(ふつう)の歩道を毎分64mの速さで同時に歩き始めました。2人は30秒後にすれ違(ちが)い、その16秒後に太郎君はB地点に着きました。動く歩道の速さは毎分 (1) mで、A地点からB地点までの距離(きょり)は (2) mです。
(芝中 2007年 2回)(答)
右上と左下の直角三角形で、「16」と「30」が相似の比になっています。
だから、で、次郎君と太郎君がそれぞれ進んだ距離(きょり)の比です。
つまり速さの比でもあるわけで、64 × 15 ÷ 8 = 120 毎分120m (太郎君の歩く速さ + 動く歩道の速さ)
よって、動く歩道の速さは、流水算の考え方で、2人は30秒ですれ違(ちが)っているので、A地点からB地点までの距離は、
「速さとダイヤグラム」の解き方[中学受験]算数の頻出問題|ベネッセ教育情報サイト
上の例題は、ダイアグラムで解く簡単な問題の例です。
図を描いて、直角三角形の相似から動く歩道とAB間の距離を求めています。
速さ一定なので直線で、あとは傾きと時間の大小関係を考慮してグラフ化します。
演習問題:船の航行する速さと川上りにかかる時間
水が毎秒5mで一定の速さで流れる川に、指定した時間だけ川上または川下へ航行する船がある。この船が、静水時における速さ一定のままある時間だけ航行したところ、上りのとき4km、下りのとき10km移動した。いま、この船の静水時における速さを1.5倍にして、A地点から15km上流にあるB地点まで航行したとき、時間はいくら掛かるか。
- 10分
- 15分
- 20分
- 25分
- 30分
3
一定の速さで流れる川を船で遡行する問題です。
基本に忠実に、「講義」の項の内容を思い出してください。
以下、詳しい解説になります。
回りくどい説明が嫌な方は、一番下に略解としてコンパクトにまとめてあるので、そこだけ読んでいただくのでも大丈夫です。
それでは、解説スタート!
解説:速さを文字でおくと比の関係から方程式が立つ
求める数値は「時間」です。
距離が決まっているので、あとは速さが分かれば公式から時間を求められます。
「静水時における速さを1.5倍にして、〜」とあるので、これを\(1.5x\)とおきます。
前半の「静水時における速さ」が\(x\)ってこと
選択肢が全て分単位で与えられているので、\(x\)の単位は「km/min(分速〜km)」とします。
こうすると、前半部において、上りと下りの速さはそれぞれ\(x-0.3\)、\(x+0.3\)と表せます。
(流速の単位変換:毎秒5m→毎分0.3km)
上りは向かい風だからマイナス、下りは追い風だからプラスね
ここで上り下りの移動距離に注目。
速さの公式によると、速さと距離は比例の関係にあるんでしたね。
つまり、\(v_{A}:v_{B}=L_{A}:L_{B}\)
これを本問に適用すると、
\(x-0.3:x+0.3=4:10=2:5\)
よって、\(x=0.7\)[km/min]
さて、本問は「静水時における速さを1.5倍にして、A地点から15km上流にあるB地点まで航行したとき」にかかる時間を求める問題です。
1.5倍の速さ→1.5×0.7=1.05[km/min]
これは静水時の速さなので、上りだと1.05-0.3=0.75[km/min]
距離15kmの移動の時間は、15/0.75=20分
よって、3が正解です。
本問は方程式と比の合わせ技で解く問題でした。
- 方程式を立てる
- 比を使う
- ダイアグラムを描く
おわりに:速さの解法は方程式と比とダイアグラム
お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?
速さの問題を解く方法は3つあります。
方程式を立てるか、比の関係を用いるか、ダイアグラムを描くか、です。
いずれか一つの解法で解ける場合もあれば、組み合わせて解くケースもあります。
今回は、流れが一定の川の遡上にかかる時間を問う問題でした。
いわゆる「流水算」というやつです。
「流水算はこれ」「旅人算ならこれ」と対処するより、同じ「速さの問題」として勉強した方が応用が利きます。
そのため、この記事では速さ一般の問題に対する解法を紹介しました。
流水算とか旅人算とかで括れない問題の方が多いからね
船で42km/hって速いのかな
最後までお読みいただきありがとうございました。
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略解
問題文前半の「静水時における速さ」を\(x\)とする。(単位:分速\(x\)km)
上りと下りの速さはそれぞれ\(x-0.3\)、\(x+0.3\)と表せる。
(流速の単位変換:毎秒5m→毎分0.3km)
速さと距離は比例関係にあるから、次式が成り立つ。
\(x-0.3:x+0.3=4:10=2:5\)
よって、\(x=0.7\)[km/min]
1.5倍の速さは、1.5×0.7=1.05[km/min]
これは静水時の速さだから、上りだと1.05-0.3=0.75[km/min]
距離15kmの移動の時間は、15/0.75=20分
したがって、3が正解である。
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