分数の和

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本サイト、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。

すでにお気づきの方も多いと思いますが、「模擬テスト」のページを作りました。
クリックする度に、これまでに出題した問題へのリンクをランダムに14問(判断と数的から7問ずつ)表示してくれます。
分野もある程度本番に近い配分で表示されるようになってます。
実戦形式の練習に活用するもよし、どの問題をやろうか迷ったときにいくつかピックアップして解くもよし、です。
ぜひご活用ください。

前回は、じゃんけんの勝敗で得点が決まるゲームの問題をやりましたね。
国家総合職で対策が必須の対応関係の問題です。
まだ解いてない方はぜひ挑戦してみてください。
もう解いた方は、復習を忘れずに。
復習は解説を読み返すのもいいですが、ぜひ解き直しにチャレンジしてみてください。
解き直しをすると、理解があやふやだった点が明確化します。
解き直しで解答に至らなければ、手が止まった箇所は復習が必要なポイントです。
「何が分からなくて解けなかったのか」を振り返ったら、今度はその疑問が解決できるように改めて解説を読み込んでみてください。
解き直しで明らかになった疑問を解決することで、一つの解法について新たな視点からの理解が得られます。
こうしたプロセスを繰り返して理解を深めることで、既存の問題を少しいじった初見の問題にも対応できるようになるのです。
日頃の問題演習に解き直しを取り入れて、本試験に求められる対応力を磨いてみませんか?

復習がバッチリな方は、本日の問題へ参りましょう!

本日の演習問題

\(\frac{1}{1・2・3}+\frac{1}{2・3・4}+\frac{1}{3・4・5}+……+\frac{1}{20・21・22}\)の値はいくらか。

  1. \(\frac{103}{462}\)
  2. \(\frac{107}{462}\)
  3. \(\frac{109}{462}\)
  4. \(\frac{113}{462}\)
  5. \(\frac{115}{462}\)

分数の和の問題です。
強引に手計算するのはいくら何でも現実的ではないので、他のウマいやり方を探すことになります。
以下、詳しい解説になります。
回りくどい説明が嫌な方は、一番下に略解としてコンパクトにまとめてあるので、そこだけ読んでいただくのでも大丈夫です。

それではスタート!

詳しい解説

この手の問題では、規則性に着目してスマートに処理することが求められます。
問題を見て、何か気づくことはありませんか?

式をよく見ると、各項の分母が連番になっていますね。
これは重要なヒントです。

これによると、\(n\)番目の項は\(\frac{1}{n(n+1)(n+2)}\)と書けます。
求める値は、\(1≦n≦20\)における総和で、数学っぽく表現すると次のようになります。

\[
\sum_{n=1}^{20} \frac{1}{n(n+1)(n+2)}=?
\]

ここまでできれば、あとは定石にしたがって処理できます。
本問のように、分母が2〜3の項で因数分解された形の分数の和を求めるときの定石として、「部分分数分解」というものがあります。
部分分数分解は、簡単にいうと、一体化した分数を\(\frac{1}{(因数)}\)の足し引きに変換するやり方です。

\[
\frac{1}{(n+a)(n+b)}→\frac{1}{n+a}-\frac{1}{n+b}
\]

本問は分母が3つの因数で構成されていますが、次のようにすれば因数が2つのときと同じように処理できます。

\begin{align}
\frac{1}{n(n+1)(n+2)}&=\frac{1}{n+1}\frac{1}{n(n+2)} \\
&=\frac{1}{n+1}\left\{\frac{1}{2}×\frac{(n+2-n)}{n(n+2)}\right\} \\
&=\frac{1}{2}\frac{1}{n+1}\left(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+2}\right) \\
&=\frac{1}{2}\left\{\frac{1}{n(n+1)}-\frac{1}{(n+1)(n+2)}\right\} ……(※)
\end{align}

\(a_n=\frac{1}{n(n+1)}\)とすれば、

\[
\frac{1}{n(n+1)(n+2)}=\frac{1}{2}(a_n-a_{n+1})
\]

よって、

\begin{align}
\sum_{n=1}^{20} \frac{1}{n(n+1)(n+2)}&=\frac{1}{2}\{(a_1-a_2)+(a_2-a_3)+……+(a_{20}-a_{21})\} \\
&=\frac{1}{2}(a_1-a_{21}) \\
&=\frac{1}{2}\left(\frac{1}{1×2}-\frac{1}{21×22}\right) \\
&=\frac{115}{462}
\end{align}

よって、5が正解です。

おわりに

お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?

分母が連続する整数の積で与えられる分数の和を求める問題でした。
分数は単純に足し引きすることができないので、部分分数分解を経由する必要があります。
分解して、求める和が隣り合う二項間の差(階差数列といいます)で与えられることが分かったら、総和の中間にある項(本問の\(a_2〜a_{20}\))は相殺されて両端の項(\(a_1\)と\(a_{21}\))だけが残るので、総和を具体的に計算することができます。
なお、(※)からさらに部分分数分解するやり方もなくはないですが、整理すると階差数列の形が崩れるのであまり賢い方法とは言えないように思えます。

本問のような「数列」をテーマにした問題は、国家総合職では時折見かけるタイプの出題です。
頻出とは言いがたい分野ですが、ある程度お決まりの対処法で得点しやすい分野でもあるので、基本だけでも習得しておきたいものですね。
本問も、試験全体の中でいえば決して難しくなく、本番なら確実に得点したい難易度の問題だと思います。
でも、だからこそ「部分分数分解」を知らないと手も足も出ない問題でもあります。
部分分数分解それ自体はどこの参考書にも載っている基本的な解法なだけに、基礎の大切さを教えてくれる出題でした。
マイナーな分野だからといって蔑ろにせず、きっちり押さえるべきところを押さえた人が、試験を勝ち残っていくのだと思います。

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次回もお楽しみに!

略解

求値式の\(n\)番目の項は\(\frac{1}{n(n+1)(n+2)}\)と書ける。
これは次のように部分分数分解できる。

\begin{align}
\frac{1}{n(n+1)(n+2)}&=\frac{1}{n+1}\frac{1}{n(n+2)} \\
&=\frac{1}{n+1}\left\{\frac{1}{2}×\frac{(n+2-n)}{n(n+2)}\right\} \\
&=\frac{1}{2}\frac{1}{n+1}\left(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+2}\right) \\
&=\frac{1}{2}\left\{\frac{1}{n(n+1)}-\frac{1}{(n+1)(n+2)}\right\} 
\end{align}

\(a_n=\frac{1}{n(n+1)}\)とすれば、\(\frac{1}{n(n+1)(n+2)}=\frac{1}{2}(a_n-a_{n+1})\)

よって、求める値は次のように算出される。

\begin{align}
\sum_{n=1}^{20} \frac{1}{n(n+1)(n+2)}&=\frac{1}{2}\{(a_1-a_2)+(a_2-a_3)+……+(a_{20}-a_{21})\} \\
&=\frac{1}{2}(a_1-a_{21}) \\
&=\frac{1}{2}\left(\frac{1}{1×2}-\frac{1}{21×22}\right) \\
&=\frac{115}{462}
\end{align}

よって、正解は5である。

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