確率の小問集合

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本ブログ、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。

前回は、アンケート結果から年収1000万円未満/以上の人の数を明らかにする問題でしたね。
どんな問題で、解き方はどうだったか、今ここで思い出せますか?
数的処理に限らずですが、少し前に解いた問題をなんとなくでも思い出す習慣を身につけると、効率よく勉強を進められますよ!
準備ができた方は、早速今日の問題に移っていきましょう。

本日の演習問題

次のア〜ウの記述のうち、誤っているものを全て挙げているのはどれか。

  1. 1個のサイコロを、偶数が出るまで投げ続けるゲームを毎日行うと、やがて奇数が出た回数の合計が、偶数が出た回数の合計を上回る。
  2. ある感染症のテストを行うと、感染者の8割に陽性反応が出るが、非感染者の2割にも陽性反応が出てしまう。このとき、陽性反応が出た被検者は8割の確率で実際に感染していることになる。
  3. 2枚のコインが入った箱が3つある。中のコインの表裏の組み合わせは全て異なっており、表と表、あるいは表と裏、あるいは裏と裏である。このうち箱を1つ選んで表裏をそのままにコインを取り出すとき、そのコインが表である確率は\(\frac{1}{2}\)である。
  1. アのみ
  2. アとイ
  3. アとウ
  4. イとウ
  5. アとイとウ

複数の記述に対し、正誤を判断する問題ですね。
記述は全部で3つなので、全て調べてもそこまで手間はかからないと思います。
全て確率がテーマとなっています。
以下、この問題を詳しく解説していきますが、回りくどいのが苦手な方は一番下の略解だけ読む、という使い方もおすすめです。

それではスタート!

詳しい解説

冒頭で述べた通り、全ての記述の正誤を調べることになります。

記述アについて

「やがて」という表現は、「将来的に」という意味です。
これを数学の言葉にすると、「サイコロを無限回振ったとき」と言い換えられます。
記述アは「サイコロを無限回振ったとき、奇数が出る回数の期待値は偶数のそれを超えるか?」と聞いています。
1日1回、偶数の目が出たところでゲームは終了するので、無限日後であっても偶数の目が出る回数の期待値は1となります。
奇数が出る回数の期待値に関しては、
「1回だけ奇数が出る場合」、「2回だけ奇数が出る場合」、「3回だけ〜」……
以上の場合が起こる確率が全て異なるので、ちゃんと計算をしなければなりません。
サイコロを振るとき、\(n\)回だけ奇数が出る確率は\((\frac{1}{2})^n\)です。
ただし、本問では以下のことに注意です。

振る回数が1回→1回偶数が出て終了 振る回数が2回→奇数1回、偶数1回で終了
振る回数が3回→奇数2回、偶数1回で終了……振る回数\(n\)回→奇数\((n-1)\)回、偶数1回で終了

このことから、奇数が出る回数の期待値\(E\)は

\begin{eqnarray*}
E&=&(1-1)×\frac{1}{2}+(2-1)×\left(\frac{1}{2}\right)^2+(3-1)×\left(\frac{1}{2}\right)^3+…… \\
&=&0×\frac{1}{2}+1×\left(\frac{1}{2}\right)^2+2×\left(\frac{1}{2}\right)^3+……
\end{eqnarray*}

右辺が等比級数となるように、\(E\)を2倍してさらに\(E\)を引くと、

\begin{eqnarray*}
2E-E=E&=&\left(\frac{1}{2}\right)+\left(\frac{1}{2}\right)^2+\left(\frac{1}{2}\right)^3+…… \\
&=&\frac{\frac{1}{2}}{1-\frac{1}{2}} \\
&=&1
\end{eqnarray*}

よって、ゲームを何日間行った場合でも、奇数の出る回数が偶数の出る回数を上回ることはないので、記述アは誤りです。

記述イについて

確率の基本は、対象の数を全体数で割ることです。
よってここでは、陽性反応のあった被検者の全体数と、その中で実際に感染している人の数を明らかにする方針でいきます。
仮に、感染者と非感染者が\(x:1-x\)の割合でいたとすると、感染者\(x\)のうち検査で陽性となるのは\(0.8x\)です。
加えて、非感染者であるにもかかわらず陽性反応となる被検者は、\(1-x\)のうち\(0.2(1-x)\)です。
よって、陽性反応のあった者が感染者である確率は

\[
\frac{0.8x}{0.8x+0.2(1-x)}=\frac{4x}{3x+1}
\]

このように、感染者の割合が分からなければ確率は定まらないので、記述イは誤りとなります。

記述ウについて

3つの箱のうち、コインが表と表で入った箱を選ぶ確率は\(\frac{1}{3}\)です。
この箱のコインは2枚とも表なので、この箱から表向きのコインを取り出す確率は1ですね。
したがって、コインが表と表で入った箱から表向きのコインを取り出す確率は、\(\frac{1}{3}×1=\frac{1}{3}\)

一方、コインが表と裏で入った箱を選ぶ確率は同じく\frac{1}{3}ですが、この箱から表向きのコインを取り出す確率は\frac{1}{2}なので、コインが表と裏で入った箱から表向きのコインを取り出す確率は、\(\frac{1}{3}×\frac{1}{2}=\frac{1}{6}\)

また、コインが裏と裏で入った箱を選ぶ確率は同じく\frac{1}{3}ですが、この箱に表向きのコインは入ってないので、コインが裏と裏で入った箱から表向きのコインを取り出す確率は0となります。

以上から、表向きのコインを取り出す確率は、\(\frac{1}{3}+\frac{1}{6}+0=\frac{1}{2}\)
よって、記述ウは正しいといえます。

したがって、誤った記述はアとイなので、2が正解となります。

おわりに

お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?

確率をテーマにした小問のうち、誤りであるものをピックアップする問題でした。
記述アは期待値の計算に無限等比級数が使われてました。
理系であれば必修の内容ですが、文系の方はそもそも「無限」という概念に馴染みが薄いかもしれないですね。
数的処理で扱う無限等比級数は\(\frac{r}{1-r}\)の公式を覚えていれば対応できるので、理論的な部分は深追いせず、「こういうものだ」と割り切って解法パターンを身に付けてしまうのがいいと思います。
国家総合職の数的処理で、確率はほぼ毎年のように出題されているので超重要です。
まずは確率の定義である\(\frac{(対象数)}{(全体数)}\)を頭に入れ、その上で加法定理や乗法定理、反復試行の確率へと移っていくのが良いでしょう。
「確率の定義くらい知ってるよ」という方も多いでしょうが、例えば順列や組み合わせと絡めた問題では、定義を知った上で対象となる事象の数と全事象の数を的確に数え上げられなければ得点できません。
定義に限らず、公式や解き方を覚えていることはもちろん重要ですが、それらを様々な問題に当てはめて活用するところまでカバーしなくてはなりません。
この記事を読んでくれた皆様は、日々の勉強で得た知識を単なる「知識」で終わらせず、本番で「道具」として使いこなして得点につなげてほしいと思います。
そのプロセスにおいて、このサイトが役に立つことがあれば私はとてもうれしく思います!

本ブログでは、今後もこうした演習用の問題をアップしていく予定なので、ブックマークなどして気軽に訪れてもらえたらうれしいです。
また、運営のやる気UPと記事のクオリティアップにつながりますので、ご意見やご感想などありましたら、お気軽にコメントにてお知らせください!

次回もお楽しみに!

略解

ア:×
記述を「サイコロを無限回振ったとき、奇数が出る回数の期待値は偶数のそれを超えるか?」と読み替えて、奇数および偶数の目が出る回数の期待値を比較する。
まず、1日に1回偶数が出たところでゲームが終わるので、ゲームを何日繰り返しても偶数が出る回数の期待値は1である。
次に、奇数が出る確率の期待値を\(E\)とすると、サイコロを\(n\)回振ったときに奇数が出る回数は\(n-1\)回であることに注意して
\begin{eqnarray*}
E&=&(1-1)×\frac{1}{2}+(2-1)×\left(\frac{1}{2}\right)^2+(3-1)×\left(\frac{1}{2}\right)^3+…… \\
&=&0×\frac{1}{2}+1×\left(\frac{1}{2}\right)^2+2×\left(\frac{1}{2}\right)^3+……
\end{eqnarray*}
よって、
\begin{eqnarray*}
2E-E=E&=&\left(\frac{1}{2}\right)+\left(\frac{1}{2}\right)^2+\left(\frac{1}{2}\right)^3+…… \\
&=&\frac{\frac{1}{2}}{1-\frac{1}{2}} \\
&=&1
\end{eqnarray*}
したがって、ゲームを何日間行っても、奇数の出る回数が偶数の出る回数を上回ることはない。

イ:×
仮に、感染者と非感染者が\(x:1-x\)の割合でいたとすると、感染者\(x\)のうち検査で陽性となるのは\(0.8x\)
また、非感染者であるにもかかわらず陽性反応となる被検者は、\(1-x\)のうち\(0.2(1-x)\)
よって、陽性反応のあった者が感染者である確率は
\[
\frac{0.8x}{0.8x+0.2(1-x)}=\frac{4x}{3x+1}
\]
したがって、陽性反応が出た被検者が感染者である確率は、感染者の割合によって変わるので断定できない。

ウ:○
まず、コインが表と表で入った箱を選ぶ確率は\(\frac{1}{3}\)
この箱から表向きのコインを取り出す確率は1なので、3つの箱からコインが表と表で入った箱を選び、かつ表向きのコインを取り出す確率は、\(\frac{1}{3}×1=\frac{1}{3}\)
一方、コインが表と裏で入った箱を選ぶ確率は\(\frac{1}{3}\)で、この箱から表向きのコインを取り出す確率が\(\frac{1}{2}\)なので、3つの箱からコインが表と裏で入った箱を選び、かつ表向きのコインを取り出す確率は、\(\frac{1}{3}×\frac{1}{2}=\frac{1}{6}\)
また、コインが裏と裏で入った箱を選ぶ確率は\(\frac{1}{3}\)であるが、この箱から表向きのコインを取り出す確率は0なので、3つの箱からコインが裏と裏で入った箱を選び、かつ表向きのコインを取り出す確率は0である。
以上から、取り出したコインが表である確率は、\(\frac{1}{3}+\frac{1}{6}+0=\frac{1}{2}\)

したがって、誤った記述はアとイなので、正解は2である。

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