購入した果物の総数

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本サイト、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。
最近急に寒くなってお布団から出るのも一苦労。

前回は、正五角形の面積比を求める問題をやりましたね。
国家総合職で頻出の平面図形の問題なので、解いてない方はぜひ挑戦してみてください。
もう解いた方は、忘れないうちに要点だけでも復習しておいてください。
一度解いた問題も、時間が経てば忘れてしまうので、そうならないうちに記憶を呼び戻しておくことをおすすめします。
思い出す訓練を積み重ねることで、本番で使える知識が増えていきます。
新しい問題を解くのは楽しくても、復習は面倒だなぁと思ってしまいますよね。
だからこそ、短時間で終わらせる、を何度も繰り返すのが最適な取り組み方になります。
復習がバッチリな方は、本日の問題へ参りましょう。

本日の演習問題

あるお店には、3種類の果物A、B、Cが売られている。いま、このお店を訪れたX氏が、A、B、Cをそれぞれいくつかずつ購入したところ、合計額は9600円であった。果物A、B、Cの1個あたりの価格がそれぞれ次の表に示す金額であったとき、X氏が購入した果物の総数はいくらか。

果物 1個あたりの価格
A 210円
B 300円
C 420円

ただし、購入したA、B、Cの個数について、分かっていることは以下の通りである。

  • Aの個数の2倍は、Bの個数の3倍よりも少ない。
  • Bの個数の2倍は、Cの個数の3倍よりも少ない。
  • Cの個数の4倍は、Aの個数の3倍よりも少ない。
  1. 30個
  2. 33個
  3. 36個
  4. 39個
  5. 42個

購入した果物の個数を求める問題です。
1個あたりの金額や合計額、さらには個数同士の関係が与えられているので、まずは個数を文字でおいてみると条件をうまく整理できるかもしれませんね。
以下、詳しい解説になります。
回りくどい説明が嫌な方は、一番下に略解としてコンパクトにまとめてあるので、そこだけ読んでいただくのでも大丈夫です。

それではスタート!

詳しい解説

A、B、Cの購入数をそれぞれ\(a, b, c\)とおくと、合計額について、
\(210a+300b+420c=9600\)より、\(21a+30b+42c=960\)・・・(※)

\(a, b, c\)は整数なので、(※)を満たす整数解を求めることが問題の主旨になります。

次に、A、B、Cの個数について分かっていることを式で表すと次のようになる。

  • \(2a<3b\)・・・(i)
  • \(2b<3c\)・・・(ii)
  • \(4c<3a\)・・・(iii)

(i)×2と(ii)×3より、\(4a<6b<9c\)・・・(iv) (真ん中を\(6b\)で揃える)
(i)×3と(iii)×2より、\(8c<6a<9b\)・・・(v) (真ん中を\(6a\)で揃える)

さらに、(iv)×3と(v)×2より、\(16c<12a<18b<27c\) (真ん中を\(12a<18b\)で揃える)

\(16c<12a<27c\)より、\(\frac{4}{3}c<a<\frac{9}{4}c\)
\(16c<18b<27c\)より、\(\frac{8}{9}c<b<\frac{3}{2}c\)

これらを(※)に対して用いると、\(c\)に関する不等式が得られます。

\(21×\frac{4}{3}c+30×\frac{8}{9}c+42c<960<21×\frac{9}{4}c+30×\frac{3}{2}c+42c\)
\(c\)について整理すると、\(7\frac{37}{269}<c<9\frac{27}{29}\)
これを満たす整数\(c\)は、8か9のいずれかですね。

以下では、\(c=8\)と\(c=9\)、それぞれの場合に分けて検討します。

\(c=8\)のとき、\(10\frac{2}{3}<a<18\)、\(7\frac{1}{9}<b<12\)
また、(※)より、\(7a=208-10b\)
\(7\frac{1}{9}<b<12\)の範囲内で\(208-10b\)が7で割り切れる\(b\)の値を探すと、該当するのは\(b=11\)のみで、このとき\(a=14\)
(これは\(10\frac{2}{3}<a<18\)も満たします)

\(c=9\)のとき、\(12<a<20\frac{1}{4}\)、\(8<b<13\frac{1}{2}\)
また、(※)より、\(7a=194-10b\)
\(8<b<13\frac{1}{2}\)の範囲内で\(194-10b\)が7で割り切れる\(b\)の値を探すと、\(b=11\)が該当しますが、このとき\(a=12\)で\(12<a<20\frac{1}{4}\)を満たしません。

以上より、\((a, b c)=(14, 11, 8)\)なので、合計数は33個となります。

したがって、2が正解です。

おわりに

お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?

購入した果物の総数を求める問題でした。
条件をもとに取り得る値の範囲を限定したあと、しらみ潰しに代入して具体的な個数を求める、というのは整数問題にはありがちな解法です。
本問では\(c\)単体に関する不等式を導き出せるかどうか、というのが一つ、明暗の分かれ目になったと思います。
特に、3つの不等式の処理のし方が分からず、そこから先に進めなくなってしまった方も多かったのではないでしょうか。
\(a\)と\(b\)を両側から\(c\)ではさみ込む、という方針が念頭にあれば、まず(i)と(ii)、および(i)と(iii)をまとめなければならない、という発想が生まれます。
そうして得られた(iv)と(v)を見比べて、\(12a<18b\)という形を作って、さらに一つの不等式にまとめる、という発想につながります。
という流れは解答を知っていればこそ思いつくもので、初見でここまでスマートな解法を見つけられる人はそう多くないでしょう。
解答にたどり着けなかった方も落ち込まず、「こんな問題もあるのか」くらいに思って次回に活かすことを考えましょう。
整数の問題は比較的パターン化しやすいので、しっかり対策すれば得点につながる分野だと思います。
苦手意識のある方も、あきらめずに簡単な問題から徐々にステップアップしましょう。

本サイトでは、今後もこうした演習用の問題をアップしていく予定なので、ブックマークなどして気軽に訪れてもらえたらうれしいです。
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次回もお楽しみに!

略解

A、B、Cの購入数をそれぞれ\(a, b, c\)とおくと、合計額についての関係より、
\(21a+30b+42c=960\)・・・(※)

また、A、B、Cの個数について分かっていることは以下である。

  • \(2a<3b\)・・・(i)
  • \(2b<3c\)・・・(ii)
  • \(4c<3a\)・・・(iii)

(i)×2と(ii)×3より、\(4a<6b<9c\)・・・(iv)
(i)×3と(iii)×2より、\(8c<6a<9b\)・・・(v)

さらに、(iv)×3と(v)×2より、\(16c<12a<18b<27c\)

\(16c<12a<27c\)より、\(\frac{4}{3}c<a<\frac{9}{4}c\)
\(16c<18b<27c\)より、\(\frac{8}{9}c<b<\frac{3}{2}c\)

これを(※)に対して用いると、
\(21×\frac{4}{3}c+30×\frac{8}{9}c+42c<960<21×\frac{9}{4}c+30×\frac{3}{2}c+42c\)
すなわち、\(7\frac{37}{269}<c<9\frac{27}{29}\)
これより、\(c=8 or 9\)

\(c=8\)のとき、\(10\frac{2}{3}<a<18\)、\(7\frac{1}{9}<b<12\)
また、(※)より、\(7a=208-10b\)
\(7\frac{1}{9}<b<12\)のもと、\(208-10b\)が7で割り切れる\(b\)の値は\(b=11\)のみで、このとき\(a=14\)
これは\(10\frac{2}{3}<a<18\)を満たす。

\(c=9\)のとき、\(12<a<20\frac{1}{4}\)、\(8<b<13\frac{1}{2}\)
また、(※)より、\(7a=194-10b\)
\(8<b<13\frac{1}{2}\)のもと、\(194-10b\)が7で割り切れる\(b\)の値は\(b=11\)が該当するが、このとき\(a=12\)であり\(12<a<20\frac{1}{4}\)を満たさないので不適。

以上より、\((a, b c)=(14, 11, 8)\)であるから、合計数は33個である。

したがって、正解は2である。

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