円形コースの周回

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本ブログ、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。

前回は、ピタゴラス数がいくつあるのかを数え上げる問題でした。
この時点で、なんとなーくでも前回やった問題の解き方を思い出してみるといい復習になりますよ!
もうバッチリだよ、という方は今日の問題に参りましょう。

本日の演習問題

A、B、Cの3人は、自転車に乗って1周3600mの円形のコースを周回することにした。AとBは同じ地点からスタートし、互いに反対の方向に秒速10mで進む。一方、CはAの前方に900mだけ離れた地点からスタートし、Aと同じ方向に秒速10mで進む。3人は誰かと出会うごとに折り返し、もと来た道を引き返すことにしていた。ここに言う「出会う」とは、周回する3人のうち2人以上が同時に同じ地点を通過することを指すものとする。
スタートからある一定の時間が経過すると、3人のいる地点および進む方向がスタート時と一致した。このとき、A、B、Cが出会った回数は何回か。

  1. 11回
  2. 12回
  3. 13回
  4. 14回
  5. 15回

コース周回の問題ですね。「出会う」ごとにもと来た道を引き返す、という条件が付いています。
走者が3人いることが、状況を複雑化させています。
誰かと誰かが「出会う」タイミングに注目し、その後どのように状況が変わっていくのかを正確に把握する必要があります。
以下、この問題の詳しい解説ですが、回りくどい説明が苦手な方は一番下の略解まで飛んでいただいても問題ありません。

それではスタート!

詳しい解説

本問では、円形のコースなので、3人の位置をxy平面上の角度を使って
A(15°)、B(45°)、C(90°)
のように表すことにします。

スタート時の状況を把握するために、与えられた条件を元に図を描いてみましょう。
\(\frac{900}{3600}=\frac{1}{4}→90^\circ\)であることより、3人はスタート時、下図のような位置関係にあったことになります。

周回スタート時
コース周回スタート時

ここからAとCは時計回りに、Bは反時計回りに周回を始めると考えます。
3人の進むスピードは同じなので、まずBとCが出会うことになります。
出会う位置は、コースに沿ってBとCを結んだ線上の中点、B(225°)=C(-135°)です。

1回目の出会い
1回目の出会い

この出会いにより、Bは時計回りに、Cは反時計回りに進むことになります。
なおこのとき、Aも反時計回りに135°進んでA(-45°)です。

この後、AとCがA(-90°)=C(-90°)で出会います。

2回目の出会い
2回目の出会い

これにより、Aは反時計回りに、Cは時計回りに進む方向が変わります。
なおこのとき、Bも時計回りに45°進んでいるのでB(180°)となります。

この図から、次に出会うのはAとBだと分かりますね。
2人から見てちょうど中間の地点で出会うので、場所はA(45°)=B(45°)です。

3回目の出会い
3回目の出会い

ここから、Aが時計回りに、Bが反時計回りに進むことになります。
なおこのとき、Cも時計回りに135°進んでC(-225°)となります。

図から、次に出会うのはBとCであり、場所は2人から見て中間地点のB(90°)=C(-270°)です。

4回目の出会い
4回目の出会い

ここから、Bは時計回りに、Cは反時計回りに進みます。
なおこのとき、Aも時計回りに45°進んでA(0°)です。

このまま同様の手順を続けるのも一つの方法ですが、一度立ち止まって、状況を観察してみましょう。

「4回目の出会い」をスタート時と比較すると、スタート時のA、B、Cが、4回の出会いによってそれぞれB、C、Aとあたかも循環するように変化し対応しています(数学ではこれをサイクリックなんて呼んだりします)。
とすれば、同じくあと4回の出会いによって、今度はスタート時のA、B、CがそれぞれC、A、Bと変化し対応することが予想できます。
すると、さらにここから4回の出会いが起こったとき、元のA、B、Cに戻る、ということになりますね。
実際、4回目の出会い以降、状況の変化のし方は1回目、2回目、3回目、4回目を再び繰り返すことになります(ただしABCの対応は変わります)。

以上から、4回の出会いを3回繰り返すとスタート時に戻るので、出会う回数は合計で12回となる。
つまり、2が正解となります。

おわりに

お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?

周回、と聞くと速さの問題をイメージしがちですが、どちらかというと操作手順に近い内容でしたね。
今回は3人とも同じスピードなので、追い越しがない分、単純化して考えることができました。
とはいえ、初見で正解にたどり着くのは簡単なことではないと思います。
解説のように、位置関係を角度として捉える発想ができればスムーズですが、問題文がメートルで表記されている分、長さで思考しようと悪戦苦闘した方もいらっしゃるのではないでしょうか。
条件を正しく把握して、状況がどう変化していくか、一つずつ丁寧に追う必要があります。
また、変化の周期性に着目して考察を減らす工夫もこの問題の肝になっています。
国家総合職の数的処理は時間との勝負なので、答えに至るまでの過程を簡略化する工夫は重要です。
日頃から「計算や場合分けを省力化できないかな?」という視点を持つようにしてみてください。
教養試験では計算の過程は考慮されないので、省略できるところはどんどん省いていきましょう!

本ブログでは、今後もこうした演習用の問題をアップしていく予定なので、ブックマークなどして気軽に訪れてもらえたらうれしいです。
また、運営のやる気UPと記事のクオリティアップにつながりますので、ご意見やご感想などありましたら、お気軽にコメントにてお知らせください!

次回もお楽しみに!

略解

以下、3人の位置をxy平面上の角度を使って
A(15°)、B(45°)、C(90°)
のように表すこととする。

\(\frac{900}{3600}=\frac{1}{4}→90^\circ\)であることより、スタート時の状況を図示すると次図のようになる。

周回スタート時

周回スタート時

3人の進む速さは同じであるから、図より、最初に出会うのはBとCである。
出会う位置は、2人から見てちょうど中間の、B(225°)=C(-135°)である。

1回目の出会い

1回目の出会い

このとき、Aの位置はA(-45°)である。
ここからBは時計回りに、Cは反時計回りに進むので、次に出会うのはAとCである。
位置はAとCの中間地点、A(-90°)=C(-90°)である。

2回目の出会い

2回目の出会い

このとき、Bの位置はB(180°)である。
ここからAは反時計回りに、Cは時計回りに進むので、次に出会うのはAとBである。
位置はAとBの中間地点、A(45°)=B(45°)である。

3回目の出会い

3回目の出会い

このとき、Cの位置はC(-225°)である。
ここからAは時計回りに、Bは反時計回りに進むので、次に出会うのはBとCである。
位置はBとCの中間地点、B(90°)=C(-270°)である。

4回目の出会い

4回目の出会い

このとき、Aの位置はA(0°)である。
ここで、4回目の出会いでは、スタート時のABCがそれぞれBCAに置き換わっている。
このことから、ここからさらに4回の出会いが起こると、スタート時のABCがそれぞれCABに置き換わった状況に変化すると予想できる。
すると、そこからさらに4回の出会いが起こることで、スタート時と全く同じ状況に戻るのだと分かる。
したがって、スタート時と同じ状況に戻るのは、\(4×3=12\)より12回の出会いが起こったときである。
よって、正解は2である。

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