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「解法のポイント」はないこともある、かもしれない
今回のテーマは……「てんびん図」
「てんびん図」とは、平均にまつわる問題の解き方の一つ。
主に、食塩水の濃度に関する問題を解くときに使うテクニックです。
2種類の食塩水を混ぜたときの濃度を、てんびんの図を書いて考える、というもの。
濃度のつり合いをてんびんに置きかえる、直感的に理解しやすい方法です。
しかも、慣れればこちらの方が簡単に解けます。
今回は、てんびん算を使った食塩水の濃度計算の解き方を、ていねいに解説します。
後半では、数的処理の過去問みたいな演習問題を解きながら、その使い方を学びます。
基本から応用問題へステップアップしたい方にオススメな内容です
講義:食塩水の濃度をてんびん図で解く
てんびん図を使った解き方で、大事なのは以下の2ステップ。
- 横棒は平均値、おもりは平均の分母(人数、質量、etc)
- 「回転の力=重さ×支点からの距離」のつり合い式を立てる
そもそも「てんびん」とは、つり合いを調べる道具。
吊るしたおもりが、支える点の両側で同じ高さになるのを「つり合う」といいます。
てんびん図は、力のつり合いを利用した解き方のこと。
つり合う支点の左右で、回転の力を書き出し、=(イコール)で結びます。
回転の力=重さ×支点からの距離
物理学でいう「モーメント」のこと
簡単な問題を例に、具体的な使い方を説明します。
例題:
8%の食塩水100gと、10%の食塩水200gを混ぜたときの濃度はいくらか。
混ぜた濃度を\(x\)%とします。
すると、てんびん図は次のように書けます。
「回転の力=重さ×支点からの距離」を使って、つり合いの式を作ります。
反時計回りの力:100 × (? ー 8)
時計回りの力:200 × (10 ー ?)
てんびんがつり合う、とは、これらが等しいこと。
つまり、100 × (? ー 8) = 200 × (10 ー ?)
→ ? = 7%(答)
以上、てんびん図を使って食塩水の濃度計算を解く方法の解説でした。
ここからは、数的処理の過去問みたいなオリジナルの演習問題を解きながら、解法の使い方を学んでいきます。
演習問題:3種類の食塩水を混ぜた濃度
3つのビーカーABCに、濃度の異なる食塩水が入っている。A、B、Cに入った食塩水の濃度と質量の対応は、表の通りである。
A、B、Cを全て混ぜ合わせた食塩水の濃度は7.7%、AとCを混ぜ合わせた食塩水の濃度は5.4%である。
Cの濃度がAの濃度の1.2倍であるとき、Bの質量はいくらか。
濃度(%) | 質量(g) | |
A | 不明 | 150 |
B | 6 | 不明 |
C | 不明 | 250 |
- 100g
- 150g
- 200g
- 250g
- 300g
4
3種の濃度計算問題。
てんびん図をどうやって描きますか?
以下、詳しい解説。
あっさりした解説がお好みの方は、一番下の略解を見てね。
おっと申し遅れました。
解説は筆者、「数的処理の穴場」管理者のモクセイがお送りします。
↑これでも元塾講で国家総合職の筆記合格者
おそすぎる自己紹介
それでは、解説スタート!
解説:濃度(平均)の条件をてんびん図にする
食塩水の濃度の問題。
ということは、てんびん図が使えます。
条件を洗い出して、てんびん図を書く
- A、B、Cを全て混ぜ合わせた食塩水の濃度は7.7%
- AとCを混ぜ合わせた食塩水の濃度は5.4%
- Cの濃度がAの濃度の1.2倍
これらを使って、てんびん図を描きます。
定石通り、横棒の長さを濃度に、おもりの重さを質量に当てはめます。
食塩水A+B+C:おもり3つのてんびん図
まずは1つ目の条件「A、B、Cを全て混ぜ合わせた食塩水の濃度は7.7%」をてんびん図にします。
おもりが3つのパターンです。
が、考え方は同じ。
支点の左右で、「回転する力」のつり合いの式を立てます。
回転する力=重さ×支点からの距離、です。
数直線のイメージで、左から濃度の小さい順に吊るす
Aの濃度を\(x\)%、Bの質量を\(y\)とおきます。
すると、3つ目の条件「Cの濃度がAの濃度の1.2倍」より、Cの濃度は1.2\(x\)%。
混ぜ合わせた濃度を支点に置きます。
すると、
反時計回りの力:150 × (7.7 ー \(x\))
時計回りの力:100 × (1.2\(x\) ー 7.7) + \(y\) × (10 ー 7.7)
つまり、
150 × (7.7 ー \(x\)) = 100 × (1.2\(x\) ー 7.7) + 2.3\(y\)
→270\(x\)+2.3\(y\)=1925…(*)
計算力も試される
未知数は2つなので、これだけでは解けません。
もう一つの条件を使います。
A+Cの食塩水:濃度と質量のてんびん図
2つ目の条件「AとCを混ぜ合わせた食塩水の濃度は5.4%」で、式を立てます。
まずはてんびん図。
こっちはおもり2つのパターン。
おもりはAとC。
支点は混ぜ合わせた濃度です。
\(x\)とか\(y\)はそのまま使う
すると、
反時計回りの力:150 × (5.4 ー \(x\))
時計回りの力:100 × (6 ー 5.4)
つまり、
150(5.4ー\(x\)) = 60
→\(x\)=5%
あとは、これを(*)に代入して解けば、
\(y\)=250g
よって、4が正解です。
おわりに:濃度計算はてんびん図で理解する
お疲れ様でした!
食塩水の濃度計算は、てんびん図で解くと分かりやすい。
(1)濃度を横棒の長さに、質量をおもりの重さに当てて図を書いて、
(2)「回転の力=重さ×支点からの距離」でつり合いの式を立てて解く
です。
今回は、3種類の食塩水を混ぜ合わせる濃度計算の問題でした。
横棒に濃度、おもりの重さに質量を当てて、てんびんのつり合いを式にします。
おもりが3つでも、式の立て方は同じ。
回転の力を書き出して、(反時計方向)=(時計方向)です。
食塩水の濃度計算は、過去にも何度か紹介しています。
一般的な方程式の解き方はこちら。
「盗んだバイクで走り出す」って今じゃ絶対炎上するよね
言いたいことも言えないこんな世の中じゃ
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略解
条件「A、B、Cを全て混ぜ合わせた食塩水の濃度は7.7%」をてんびん図にする。
Aの濃度を\(x\)%、Bの質量を\(y\)とおく。
すると、3つ目の条件「Cの濃度がAの濃度の1.2倍」より、Cの濃度は1.2\(x\)%。
反時計回りの力:150 × (7.7 ー \(x\))
時計回りの力:100 × (1.2\(x\) ー 7.7) + \(y\) × (10 ー 7.7)
つり合いの式:
150 × (7.7 ー \(x\)) = 100 × (1.2\(x\) ー 7.7) + 2.3\(y\)
→270\(x\)+2.3\(y\)=1925…(*)
条件「AとCを混ぜ合わせた食塩水の濃度は5.4%」をてんびん図にする。
反時計回りの力:150 × (5.4 ー \(x\))
時計回りの力:100 × (6 ー 5.4)
つり合いの式:
150(5.4ー\(x\)) = 60
→\(x\)=5%
これを(*)に代入し解くと、
\(y\)=250g
よって、4が正解である。
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