【国家総合職】苦手でも大丈夫!パターン化で対応する推論問題【命題と推論5】

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本サイト、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。

今回のテーマは「推論問題」です。
推論問題には決まった出題パターンがあります。
以下の記事で詳しく説明しているので、参考にしてください。

演習問題:命題と推論5

次のうち、論理的に正しい推論はどれか。

  1. ある森において、雪が強く降る日は地面に野生動物の足跡を見ることができる。また、地面に木の葉が落ちており、かつドングリも落ちている日は、野鳥を5種類以上見ることができる。さらに、見られる野鳥が5種類以上であるか、あるいはドングリが落ちていない日は、地面に野生動物の足跡を見ることができない。このとき、地面に木の葉が落ちている日は雪が強く降っていないことが論理的に推論できる。
  2. ある大学では、定期試験の点数が平均点以上で、かつ週あたりの勉強時間が3時間以上の学生は、個人用のPCを持っている、または通学に要する時間が1時間未満であった。このとき、個人用のPCを持っておらず、かつ通学に要する時間が1時間以上の学生は、定期試験の点数が平均点未満で、かつ週あたりの勉強時間が3時間未満であることが論理的に推論できる。
  3. ある飲食店において、7月と8月の2ヶ月間は、原則として午後3時以降に全ての弁当を割引で販売している。ただし、午後1時の時点でその日の売上げ個数が100に満たない場合は、午後2時の時点の売上げ個数が100以上でないと午後3時以降の割引を行わないこととしている。また、それ以外の期間は、売上げ個数が100以上となった時点からちょうど1時間後から割引を開始することとしている。このとき、ある日の午後3時に割引が行われていれば、午後2時の時点の売上げ個数が100以上であったことが論理的に推論できる。
  4. ある山では、雪が積もっており、かつ空が曇っている日は気温が0℃未満となる。また、気温が0℃未満の日は湖に氷が張っており、かつワカサギが釣れることが知られている。このとき、湖に氷が張っていない、またはワカサギが釣れない日は空が曇っていないことが論理的に推論できる。
  5. ある小学校における調査によると、犬が好きな者は猫も好きである。また、犬は好きでなく、かつウサギが好きな者は、猫も好きである。さらに、パンダと猫が好きな者は、ウサギが好きでない。このとき、ウサギとパンダが好きな者がいることが論理的に推論できる。

前回に続き、数的処理の第1問目にありがちな推論問題です。
推論問題の典型的な解法を覚えてますか?
以下、詳しい解説になります。
回りくどい説明が嫌な方は、一番下に略解としてコンパクトにまとめてあるので、そこだけ読んでいただくのでも大丈夫です。

それでは、解説スタート!

解説:命題か、真偽表か

推論問題の出題パターンを思い出してください。

解法のポイント
推論の正誤を判断する方法3パターン
  1. 命題として処理(対偶や三段論法)
  2. 真偽表を作る
  3. その他

5つの選択肢はそれぞれ内容的に独立しており、1つずつ正誤を調べる必要があります。
「解法のポイント」にある3つのうちのどのパターンか、都度判断して正誤を見極めましょう。

選択肢1:対偶と三段論法と命題の分割

解法のポイント「1」のパターンで進めます。

まずは条件を「○○ならば××」式に表現します。

\[
雪 \Rightarrow 足跡 \\
(木の葉 \land ドングリ) \Rightarrow 野鳥5種類以上 \\
(野鳥5種類以上 \lor \overline{ドングリ}) \Rightarrow \overline{足跡}
\]

一方、推論(証明したい命題)は以下です。

\[
木の葉 \Rightarrow \overline{雪}
\]

推論を示すには、「\(〜 \Rightarrow \overline{雪}\)」の形が必要なので、条件の1つ目で対偶を取ります。
加えて、条件の3つ目は2つの命題に分割できます。

まとめると、条件は次のように書き換えられます。

\begin{eqnarray}
\overline{足跡} &\Rightarrow& \overline{雪} \tag{1} \\
(木の葉 \land ドングリ) &\Rightarrow& 野鳥5種類以上 \tag{2} \\
野鳥5種類以上 &\Rightarrow& \overline{足跡} \tag{3} \\
\overline{ドングリ} &\Rightarrow& \overline{足跡} \tag{4}
\end{eqnarray}

条件の式(1)と(2)と(3)、および式(1)と(4)には三段論法が使えます。

\begin{eqnarray}
(木の葉 \land ドングリ) \Rightarrow 野鳥5種類以上 &\Rightarrow& \overline{足跡} \Rightarrow \overline{雪} \tag{5} \\
\overline{ドングリ} \Rightarrow \overline{足跡} &\Rightarrow& \overline{雪} \tag{6}
\end{eqnarray}

実は、この式(5)と(6)より推論「\(木の葉 \Rightarrow \overline{雪}\)」を導くことができます。
「木の葉」というケースを、次のように「ドングリ」の有無によって場合分けして考えるのがポイントです。

(i)木の葉が落ちており、かつドングリも落ちている場合
(ii)木の葉が落ちており、かつドングリが落ちていない場合

スマートに表すと、次のようになります。

\[
木の葉 \Leftrightarrow (木の葉 \land ドングリ) \lor (木の葉 \land \overline{ドングリ})
\]

(i)は式(5)より、「雪」ではないことが分かります。
(ii)はどうかといえば、式(6)より、「ドングリ」ではない限りにおいては「雪」ではないので、この場合も「雪」ではないという結論が得られます。

合わせると、推論「\(木の葉 \Rightarrow \overline{雪}\)」は真であることが示されます。

以上より、選択肢1は正解です。

選択肢2:命題がダメなら真偽表

命題で解こうとしても、条件も推論も複雑で扱えません。

YES/NOで二分される要素の問題なので、解法のポイント「2」の方法、真偽表を作って解決できます
次のような表を用意しましょう。

真偽分類表の基本フォーマット
真偽分類表の基本フォーマット

ここには、あり得る全てのケースが網羅されています。
与えられた条件から、確実に「あり得ないケース」を排除していくことで、次の推論の真偽を判断します。

\[
(\overline{PC} \land 通学1時間以上) \Rightarrow (\overline{平均点以上} \land \overline{勉強3時間以上})
\]

与えられた条件をおさらいしましょう。
今回は以下の1つだけです。

“定期試験の点数が平均点以上で、かつ週あたりの勉強時間が3時間以上の学生は、個人用のPCを持っている、または通学に要する時間が1時間未満であった”

「平均以上」と「勉強3時間以上」が○であるのに、「PC」が×で「通学1時間以上」が○であるパターンを消去します。

条件を満たさないケースを消し込み、推論の真偽を判断する
条件を満たさないケースを消し込み

残りのパターンは全て可能性があります。
この中で推論の真偽を検討すると、⑤は推論に合いません。

よって、選択肢2は誤りです。

選択肢3:命題でも真偽表でも解けないレアケース

一見すると、命題を扱う解法のポイント「1」のパターンで解決できそうでもありますが、条件を「○○ならば××」式に表現するのは難しそうです。
ならば解法のポイント「2」で解けるのか、というと、内容からして真偽表も役立ちそうにありません。

ここは解法のポイント「3」のパターンとして対処します。
「3」は他の2つと違ってパターン化が難しく、個別に対処する必要があります。

分岐を丁寧にたどって、起こりうるケースを書き出しましょう。
ここでは証明したい命題が「\(割引 \Rightarrow \)〜」なので、割引が行われるケースのみを書き出せばOKです。

以上より、選択肢3は誤りです。

選択肢4:対偶と三段論法で解決

「○○の日は××」という表現は、「○○ならば××」と意味です。
よって、ここは解法のポイントの「1」、命題として処理するのが適切です。

与えられた条件は以下です。

\[
(雪 \land 曇り) \Rightarrow 0℃未満 \\
0℃未満 \Rightarrow (氷 \land ワカサギ)
\]

一方、推論は次のように表せます。

\[
(\overline{氷} \lor \overline{ワカサギ}) \Rightarrow \overline{曇り}
\]

「\((\overline{氷} \lor \overline{ワカサギ}) \Rightarrow \)〜」の形を導くために、条件の2つ目で対偶をとります。

\[
(\overline{氷} \lor \overline{ワカサギ}) \Rightarrow \overline{0℃未満}
\]

条件の1つ目も対偶をとると、三段論法で次のようにつながります。

\[
(\overline{氷} \lor \overline{ワカサギ}) \Rightarrow \overline{0℃未満} \Rightarrow (\overline{雪} \lor \overline{曇り})
\]

この命題によると、次のベン図で色を付けた領域のケースが起こり得るので、推論は必ずしも正しいとはいえません。

三段論法をベン図で捉える
三段論法をベン図で捉える
モクセイ
モクセイ

雪が積もってなければ「\((\overline{氷} \lor \overline{ワカサギ})\)」でも「曇り」のケースがあり得る

以上より、選択肢4は誤りです。

選択肢5:好き嫌いは真偽表

好き/嫌いの話なので、解法のポイントの「2」、真偽表を使って解きます

モクセイ
モクセイ

推論が「○○ならば××」の形じゃないから、命題で解くのはそもそもムリ

まず真偽表を用意します。

ここから、条件をもとにあり得ないケースを排除して、推論の正誤を判断します。
推論は「\(ウサギ \land パンダ\)」です。

条件の1つ目、「犬が好きな者は猫も好きである」より、犬が○なのに猫が×のパターン(②、⑤、⑥、⑧)を消去します。
条件の2つ目、「犬は好きでなく、かつウサギが好きな者は、猫も好きである」より、犬が×かつウサギが○なのに猫が×のパターン(⑩、⑭)を消去します。
条件の3つ目、「パンダと猫が好きな者は、ウサギが好きでない」より、パンダと猫がともに○なのにウサギが○のパターン(①、⑨)を消去します。

以上をまとめたものが次の表になります。

条件に合わないパターンを消去
条件に合わないパターンを消去

これをもとに推論の正誤を調べます。
「ウサギとパンダが好き」なパターンが一つでもあればOKですが、表をみるに、そのようなパターンは一つもありません。

よって、選択肢5は誤りです。

以上より、1が正解です。

おわりに:推論は「命題」と「真偽表」(&その他)

お疲れ様でした!

推論問題は「命題」と「真偽表」で解けるものが9割5分です。
残りはどちらでもない「その他」のパターンですが、たまに出題される程度なのであまり気にしなくても大丈夫です。

モクセイ
モクセイ

出てもダミー(正解でない選択肢)の場合がほとんど

今回は各選択肢が独立した形式の推論問題でした。
一つずつ真偽を調べなければならないので、どうしても時間がかかります。
だからこそ、ぱっと見で素早く解き方を判断する力が必要です。
解説で紹介した「解法のポイント」には、数的処理の推論問題の出題パターンが網羅されているので、ぜひ頭に入れて使いこなしてください。

最後に一言

みんな!待たせたな!!(シーーーン)

最後までお読みいただきありがとうございました。

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次回もお楽しみに!

略解

選択肢1の正誤→○

条件:

\[
雪 \Rightarrow 足跡 \\
(木の葉 \land ドングリ) \Rightarrow 野鳥5種類以上 \\
(野鳥5種類以上 \lor \overline{ドングリ}) \Rightarrow \overline{足跡}
\]

推論:

\[
木の葉 \Rightarrow \overline{雪}
\]

↓命題の分割

\begin{eqnarray}
\overline{足跡} &\Rightarrow& \overline{雪} \tag{1} \\
(木の葉 \land ドングリ) &\Rightarrow& 野鳥5種類以上 \tag{2} \\
野鳥5種類以上 &\Rightarrow& \overline{足跡} \tag{3} \\
\overline{ドングリ} &\Rightarrow& \overline{足跡} \tag{4}
\end{eqnarray}

条件の式(1)と(2)と(3)、および式(1)と(4)に三段論法を使うと、

\begin{eqnarray}
(木の葉 \land ドングリ) \Rightarrow 野鳥5種類以上 &\Rightarrow& \overline{足跡} \Rightarrow \overline{雪} \tag{5} \\
\overline{ドングリ} \Rightarrow \overline{足跡} &\Rightarrow& \overline{雪} \tag{6}
\end{eqnarray}

「木の葉」というケースを、次のように「ドングリ」の有無によって場合分けして考える。

(i)木の葉が落ちており、かつドングリも落ちている場合
(ii)木の葉が落ちており、かつドングリが落ちていない場合

(i)…式(5)より、「雪」ではない。
(ii)…式(6)より、「ドングリ」ではない限り「雪」ではないので、この場合も「雪」ではない。

合わせると、推論「\(木の葉 \Rightarrow \overline{雪}\)」は真である。

よって、選択肢1は正しい。

選択肢2の正誤→×

真偽表から、次の条件に合わないパターンを消去する。

条件:定期試験の点数が平均点以上で、かつ週あたりの勉強時間が3時間以上の学生は、個人用のPCを持っている、または通学に要する時間が1時間未満であった

条件に合わないパターンを消去

条件に合わないパターンを消去

このもとで推論を検討すると、図の⑤は推論に合わない。

よって、選択肢2は誤り。

選択肢3の正誤×

()

よって、選択肢3は誤り。

選択肢4の正誤→×

条件:
\[
(雪 \land 曇り) \Rightarrow 0℃未満 \\
0℃未満 \Rightarrow (氷 \land ワカサギ)
\]

推論:
\[
(\overline{氷} \lor \overline{ワカサギ}) \Rightarrow \overline{曇り}
\]

条件の対偶をとると、三段論法が使える。

\[
(\overline{氷} \lor \overline{ワカサギ}) \Rightarrow \overline{0℃未満} \Rightarrow (\overline{雪} \lor \overline{曇り})
\]

これは、図の色をつけた領域に属するケースがあり得ることを示す。

よって、選択肢4は誤り。

選択肢5の正誤→×

真偽表を使って解く。

条件の1つ目、「犬が好きな者は猫も好きである」より、②、⑤、⑥、⑧を消去。
条件の2つ目、「犬は好きでなく、かつウサギが好きな者は、猫も好きである」より、⑩、⑭を消去。
条件の3つ目、「パンダと猫が好きな者は、ウサギが好きでない」より、①、⑨を消去。

条件に合わないパターンを消去

条件に合わないパターンを消去

この表において「ウサギとパンダが好き」なパターンは存在しない。

よって、選択肢5は誤り。

したがって、5が正解である。

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