NEW!【国家一般職】転がる図形の軌跡はイメージが大切。この3つを意識して【転がる棒が通過するエリアの面積】

【国家一般職】転がる図形の軌跡はイメージが大切。この3つを意識して【転がる棒が通過するエリアの面積】 平面図形
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モクセイ
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「解法のポイント」はないこともある、かもしれない

今回のテーマは……「軌跡(平面図形)

軌跡はイメージが大切。
移動する点なり、図形なりの動きを正しく捉えることが必要です。

以前、回転する図形をイメージするコツを紹介しました。

解法のポイント
滑らずに転がる軌跡で意識したい3つのポイント
  • 小さなステップに分ける
  • 回転の中心、半径、回転角を押さえる
  • 繰り返し(対称性)にも注意

このポイントが有効なのは、点の軌跡だけではありません。
線や図形の移動を考える場合にも有用です。

今回は、回転移動の軌跡をイメージしやすくする「解法のポイント」を、数的処理の過去問みたいな演習問題を使ってレクチャーします。

モクセイ
モクセイ

過去問に近いレベルになってます

演習問題:転がる棒が通過するエリアの面積

図1のような階段状の図形の上に、長さ4の細い棒を置く。この棒が、図2のような状態から時計回りに滑ることなく回転し、点Gに接するまで移動する。このとき、棒が通過する領域の面積に最も近い値は次のうちどれか。
ただし、一辺の長さが1である正三角形の高さは0.85、円周率は3とする。

段差を下る棒の通過領域は?

  1. 60
  2. 70
  3. 80
  4. 90
  5. 100

通過領域の面積の問題。
形をイメージすること。

以下、詳しい解説。
あっさりした解説がお好みの方は、一番下の略解を見てね。

おっと申し遅れました。
解説は筆者、「数的処理の穴場」管理者のモクセイがお送りします。
↑これでも元塾講で国家総合職の筆記合格者

モクセイ
モクセイ

おそすぎる自己紹介

それでは、解説スタート!

解説:ステップごとの中心&半径&回転角を知る

面積を求めるなら、まずは通過領域がどんな形かを知る必要があります。

Q:どうやって?
A:描いてみるしかありません。

滑らずに転がる軌跡の「解法のポイント」を意識して、回転の様子をイメージします。

解法のポイント
滑らずに転がる軌跡で意識したい3つのポイント
  • 小さなステップに分ける
  • 回転の中心、半径、回転角を押さえる
  • 繰り返し(対称性)にも注意

ふつう、軌跡といえば点の移動ですが、動くものが線や図形であっても考え方は同じ。

考える人
考える人

ステップの区切り方が分からないよドラえも〜ん

回転移動のステップは、回転の中心や半径が変わるタイミングで区切るのがセオリー。
中心や半径が変わらない間は扇形(円弧)なので、面積や長さを計算できる、というわけです。

モクセイ
モクセイ

だれが正月太りで「身長体重胸囲129.3cm」じゃ

この観点によると、本問は3つのステップに分けることができます。
説明のため、棒の左端をA、右端をB、中点をPとします。

Step1:点Pを中心とする90°回転

点Pを中心に転がって、垂直な壁にくっついて止まる動きをイメージします。
半径PAの90°回転で、扇形の通過領域ができます。

Step1:Pを中心とした90°回転
Step1:Pを中心とした90°回転
モクセイ
モクセイ

PBの通過領域はあとで重ね塗りされるので考えなくてOK

半径:AP=2
回転角:90°

この間の通過領域の面積は、

\[
\pi × 2 × 2 × \frac{90}{360} = \pi……(\mathrm{i})
\]

モクセイ
モクセイ

円周率は\(\pi\)としておいて最後に計算します

Step2:点Bを中心とする120°回転

垂直な壁から、時計回りに回転する様子をイメージします。
点Bは常に接したまま、点Aが次の段にぶつかって回転が止まります。
このとき、棒は壁に立て掛けた状態です。

モクセイ
モクセイ

Bを中心とした、半径BAの回転

Step2:Bを中心とした120°回転
Step2:Bを中心とした120°回転

立て掛けた棒の下の隙間に注目。
ここは直角三角形で、斜辺と短辺の比は2:1

ということは……
30°、60°、90°の直角三角形

これより、棒の回転角は120°だった、と分かります。

モクセイ
モクセイ

底辺の長さは3.4なので、Aはちょうど段の角

半径:BA=4
回転角:120°

通過領域の面積は、

\[
\pi × 4 × 4 × \frac{120}{360} = \frac{16}{3}\pi……(\mathrm{ii})
\]

Step3:点Aを中心とする240°回転

立て掛けた状態から時計回りに回転するとき、点Aは固定されます。
Aを中心とした、半径ABの回転をイメージします。

Step3:Aを中心とした240°回転
Step3:Aを中心とした240°回転

棒は壁にぶつかって止まります。
回転角は、360°ー(90°+30°)=240°

半径:AB=4
回転角:240°

通過領域の面積は、

\[
\pi × 4 × 4 × \frac{240}{360} = \frac{32}{3}\pi……(\mathrm{iii})
\]

あとは、(i)、(ii)、(iii)を足し合わせるだけ。

…というわけにはいかず。
重ね塗りされた部分の面積の分を補正する必要があります。

モクセイ
モクセイ

もうちょっとだけ続くんじゃ

延長戦:重なった部分の面積を求める

重なった部分の面積は?
重なった部分の面積は?

重ね塗りの部分をオレンジ色で示しました。
この部分を二重に数えてしまうので、引き算する必要があります。

さて、どうやったら求められるでしょう?

この図形の成り立ちにヒントがあります。
そもそもこの領域は、扇形を重ね塗りしたものでした。

であれば、ここも足し合わせて共通部分(三角形)を引き算すればOK。

モクセイ
モクセイ

もしかして:正三角形

つまり、
オレンジの面積=扇形+扇形ー正?三角形

足し合わせたあと共通部分を引く
足し合わせたあと共通部分を引く

まず、正?三角形について。
この三角形の各辺は全て、棒ABが通ってきた「足あと」です。
ということは、長さは全て4。

まさしく、一辺の長さ4の正三角形

すると、扇形は「半径4、中心角60°」
面積は、

\[
\pi × 4 × 4 × \frac{60}{360} = \frac{8}{3}\pi
\]

正三角形については、「一辺の長さが1である正三角形の高さは0.85」を使って求めます。
一辺が4なら、高さは0.85×4=3.4
→(正三角形)=4×3.4÷2=6.8

よって、オレンジの図形の面積は、

\[
\frac{8}{3}\pi+\frac{8}{3}\pi-6.8=\frac{16}{3}\pi-6.8
\]

以上より、棒が通過する領域の面積は、

\begin{align}
(\mathrm{i})+&(\mathrm{ii})+(\mathrm{iii})-(橙) \\
&=\pi+\frac{16}{3}\pi+\frac{32}{3}\pi-(\frac{16}{3}\pi-6.8) \\
&=\frac{379}{15}×3+6.8 \\
&=84.6
\end{align}

選択肢を見ると、この値に最も近いのは3の「80」。

よって、3が正解です。

おわりに:転がる軌跡は中心&半径&回転角で決まる

お疲れ様でした!

滑らずに転がる図形の軌跡は、まず「イメージ」すること。
意識するポイントは3つ。

・ステップに分ける
・回転の中心、半径、回転角
・対称性

ステップに分けるときは、扇形に注目するのがコツ
半径(中心)が固定なら、転がる移動の軌跡は扇形(円弧)です。
なので、半径や中心が変わるタイミングで区切れば、全体は扇形の寄せ集めとして計算できます。

モクセイ
モクセイ

やっぱり中心と半径がカギ

今回は、滑らずに転がる棒が通るエリアの面積を計算する問題でした。
中心点が切り替わる瞬間を捉え、ステップごとに扇形の面積を求めて足し合わせます。
このときに重ね塗りの部分を2回数えてしまうので、引き算で補正します。

点の軌跡をもう1問。

回転つながり。

最後に一言

この正月のハイライトは、食後のぬるま湯で溺れかけたことでした

モクセイ
モクセイ

2025年、のっけからとんでもない年になりそうでワクワクしてる

最後までお読みいただきありがとうございました。

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次回もお楽しみに!

略解

点Pを中心にとした回転

Step1:Pを中心とした90°回転

Step1:Pを中心とした90°回転

垂直な壁にぶつかって止まる。
→半径PA=2、回転角90°の扇形

面積は、

\[
\pi × 2 × 2 × \frac{90}{360} = \pi……(\mathrm{i})
\]

点Bを中心とした回転

Step2:Bを中心とした120°回転

Step2:Bを中心とした120°回転

傾いた棒の下側は、「30°、60°、90°」の直角三角形。
→半径BA=4、回転角120°の扇形

面積は、

\[
\pi × 4 × 4 × \frac{120}{360} = \frac{16}{3}\pi……(\mathrm{ii})
\]

点Aを中心とした回転

Step3:Aを中心とした240°回転

Step3:Aを中心とした240°回転

点BがGに一致して止まる。
→半径AB=4、回転角240°の扇形

面積は、

\[
\pi × 4 × 4 × \frac{240}{360} = \frac{32}{3}\pi……(\mathrm{iii})
\]

重なった領域(オレンジ色)の面積を求める。

重なった部分の面積は?

重なった部分の面積は?

三角形の各辺の長さは4。
→正三角形
高さは0.85×4=3.4なので、面積は
4×3.4÷2=6.8

重なった扇形は「半径4、中心角60°」なので、面積は

\[
\pi × 4 × 4 × \frac{60}{360} = \frac{8}{3}\pi
\]

オレンジの面積は、「扇形+扇形ー正三角形」より、

\[
\frac{8}{3}\pi+\frac{8}{3}\pi-6.8=\frac{16}{3}\pi-6.8
\]

足し合わせたあと共通部分を引く

足し合わせたあと共通部分を引く

以上より、通過領域の面積は

\begin{align}
(\mathrm{i})+&(\mathrm{ii})+(\mathrm{iii})-(橙) \\
&=\pi+\frac{16}{3}\pi+\frac{32}{3}\pi-(\frac{16}{3}\pi-6.8) \\
&=84.6
\end{align}

したがって、3が正解である。

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