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「解法のポイント」はないこともある、かもしれない
今回のテーマは……「割り算の余り(整数)」
「整数」といえば、数的処理の一角を担う分野。
出題頻度が高いわりにここを苦手とする人は多く、得点に差がつく分野だったりします。
今回は、そんな整数問題の中でも、「余り」の問題にフォーカスします。
余りの問題には、いくつかのパターンがあり、それぞれに解き方が確立されています。
でも、一つ一つ覚えるのはちょっと大変……
そんな方に朗報!
余りの問題の解き方って、実は1つで十分なんです。
この記事では、余りの問題の多くをカバーできる、とっておきの解法を紹介します。
後半では、過去問に似せた演習問題を解きながら、その使い方を学びます。
講義:整数の余り問題の解き方これ1つ
余りの問題でよくある出題パターンは以下。
- 余りが等しい
- 「割る数ー余り」が等しい
- 「割る数+余り」が等しい
- 共通点なし
それぞれ個々に解き方があるんですが……
今回紹介する「解法のポイント」は、その全てに対応できちゃいます。
そんな、整数の余りの問題に効く、夢のような公式がこれ。
条件に合う最小の数+割る数の最小公倍数×\(n\)
最初のうちは、これをとにかく覚えて使う、でも大丈夫です。
とはいえ、「なぜそうなるのか?」と背景にも興味を持ってほしい。
知的好奇心のある方のために、公式の成り立ちを少し説明しておきます。
なぜ最小数と最小公倍数なの?
例として、「3で割ると2余り、4で割ると1余る数」を考えます。
まず、「条件に合う最小の数」について。
これは、力技で見つけます。
「3で割って2余る数」と「4で割って1余る数」を書き出して探す、ということ。
3余り2→2,5,8,11,14,17,……
4余り1→1,5,9,13,17,……
これより、「条件の数=5+□×\(n\)」という式が立ちます。
\(n\)=0,1,2,3,……とすると、条件を満たす整数が順々に得られます。
数学だと、5は等差数列の「初項」にあたるよ
あとは、□に入る数が何か?です。
さっきのように書き出して法則を見つける、というのも手ですが……
「3余り2」は、5に3を一つずつ足し合わせた数→5+3×○
「4余り1」は、5に4を一つずつ足し合わせた数→5+4×○
条件の数は、緑字がイコールとなるものです。
3の倍数でもあって、4の倍数でもある……
12の倍数です。
12は等差数列の「公差」です
つまり、「条件の数 = 5+12×\(n\)」となります。
これが、万能の公式の成り立ちです。
以下では、「解法のポイント」を使っていくつか例題を解いていきます。
例題1:余りが等しいパターン
4で割っても7で割っても2余る3けたの整数で、最小の数はいくつか。
ふつうの解き方
余りが同じ、というパターン。
このパターンは、条件に合う整数を「割る数の最小公倍数×\(n\)+共通の余り」と表すのが定石。
\(n\)は0以上の整数です。
4でも7でも割り切れる数に2を足したのが条件に合う数
ここでは、\(28n+2\)と表せます。
\(n=0,1,2,3,……\)を当てはめると、
\(28n+2\) = 2, 30, 58, 86, 114, ……
よって、正解は114、となります。
次は、これを「解法のポイント」で解いてみます。
「解法のポイント」で解く
この例題の場合、最小の数が「2(=共通の余り)」であるのはすぐ分かります。
割る数の最小公倍数は、4×7=28
よって、条件に合う整数は\(2+28n\)と表せます。
あとは「ふつうの解き方」と同じ。
ここに、\(n=0,1,2,3,……\)を当てはめて書き出すと、
\(2+28n\)=2, 30, 58, 86, 114, ……
→正解は114
例題2:「割る数ー余り」が等しいパターン
3で割ると1余り、5で割ると3余る2けたの整数はいくつあるか。
ふつうの解き方
このパターンは、条件に合う整数を「割る数の最小公倍数×\(n\)ー同じ差」と表すのが定石。
この例題の場合は、\(15n-2\)です。
2を足せば3でも5でも割り切れる→\(N+2=15n\)
\(n=1,2,3,……\)を当てはめると、
\(15n-2\)=13, 28, 43, 58, 73, 88, 103, ……
よって、正解は6個です。
次は、これを「解法のポイント」で解きます。
「解法のポイント」で解く
3で割ると1余る
→1,4,7,10,13,16,19,22,……
5で割ると3余る
→3,8,13,18,23,……
これより、条件に合う最小の数は「13」
割る数の最小公倍数は、3×5=15
よって、条件に合う整数は\(13+15n\)と表せます。
見た目は違うけど、式の意味は\(15n-2\)と同じ
ここに、\(n=0,1,2,3,……\)を当てはめて書き出すと、
\(13+15n\)=13, 28, 43, 58, 73, 88, 103, ……
→正解は6個
例題3:「割る数+余り」が等しいパターン
5で割ると4余り、6で割ると3余る整数のうち、100に最も近い数はいくつか。
ふつうの解き方
このパターンは、条件に合う整数を「等しい和+割る数の最小公倍数×\(n\)」と表すのが定石。
この例題の場合は、\(9+30n\)です。
\(n=0,1,2,3,……\)を当てはめると、
\(9+30n\)=9,39,69,99,129, ……
99と129なら、100により近いのは99ですね。
よって、正解は99となります。
次は「解法のポイント」で。
「解法のポイント」で解く
5で割ると4余る
→4,9,14,19,24,……
6で割ると3余る
→3,9,15,21,27,……
これより、条件に合う最小の数は「9」
割る数の最小公倍数は、5×6=30
よって、条件に合う整数は\(9+30n\)と表せます。
ここに、\(n=0,1,2,3,……\)を当てはめて書き出すと、
\(9+30n\)=9,39,69,99,129, ……
→正解は99
例題4:共通点がないパターン
9で割ると5余り、13で割ると11余る3けたの整数はいくつあるか。
余りは異なるし、割る数と余りを足しても引いても一致しない。
こんなケースも解決できます。
そう、「解法のポイント」ならね。
画像は梨だけどね
「解法のポイント」で解く
9で割ると5余る
→5,14,23,32,41,50,59,……
13で割ると11余る
→11,24,37,50,63,76,……
これより、条件に合う最小の数は「50」
割る数の最小公倍数は、9×13=117
火事と救急は119
よって、条件に合う整数は\(50+117n\)と表せます。
ここに、\(n=0,1,2,3,……\)を当てはめて書き出すと、
\(50+117n\)=50,167,284,401,518,635,752,869,986,1103, ……
→正解は8個
ちなみに。
割る数が大きい方の候補を書き出して小さい方で割っていく、というやり方もあります。
大きい方の候補の中から、小さい方の余りの条件に合う数を選び出すわけです。
この例題であれば、13で割ると11余る整数の候補を9で割っていき、5余る数を探します。
13で割るより9で割るほうがラク
以上、余りをテーマにした整数問題の解き方の解説でした。
ここからは、過去問をもとに作ったオリジナルの演習問題を解きながら、「解法のポイント」の使い方を学んでいきます。
演習問題:割り算の余りの条件を満たす整数
ある整数を5,6,8で割った余りを{p, q, r}のように表すとする。いま、3つの整数A,B,Cについて、次のことが分かっているとき、A+B+Cはいくらか。
- Aは、{2,2,2}である3けたの整数のうち、最大の数である。
- Bは、{3,4,6}である3けたの整数のうち、小さい方から5番目の数である。
- Cは、{4,3,1}である4けたの整数のうち、最小の数である。
- 2134
- 2337
- 2649
- 2745
- 2869
3
整数の余り問題の3種詰め合わせセット。
「解法のポイント」を知ってれば、どのパターンかを見極める必要はありません。
以下、詳しい解説。
あっさりした解説がお好みの方は、一番下の略解を見てね。
おっと申し遅れました。
解説は筆者、「数的処理の穴場」管理者のモクセイがお送りします。
↑これでも元塾講で国家総合職の筆記合格者
おそすぎる自己紹介
それでは、解説スタート!
解説:余りの公式を立てて候補を書き出す
整数の余りに関する問題の出題パターンは主に3つ。
A,B,Cを分類すると、以下の通りになります。
- A→余りが等しい
- B→「割る数ー余り」が等しい
- C→「割る数+余り」が等しい
これ全て、「解法のポイント」で解ける
条件に合う最小の数+割る数の最小公倍数×\(n\)
「講義」の項で挙げた例題は条件(割る数)が2つでしたが、3つでも同じように解くことができます。
以下、A,B,Cを順に求めていきます。
A:最小数は「共通の余り」
このケースでは、「条件に合う最小の数」は余りそのもの、つまり2です。
「割る数の最小公倍数」は、5×6×4=120
これより、公式は
A=2+120\(n\)
Aは「3けたの整数のうち、最大の数」。
候補を書き出すと、
2,122,242,362,482,602,722,842,962,1082,……
よって、A=962
B:「(6余り4)かつ(8余り6)」を5で割り算
このケースでは、「条件に合う最小の数」を力技で探します。
後々のために、「5余り3」を残します。
6余り4→4,10,16,22,28,34,……
8余り6→6,14,22,30,38,……
これより、「6余り4」であり、「8余り6」でもある整数は、次のように表せます。
22+24\(n\)
24は6と8の最小公倍数
この中から「5余り3」である数を取り出したものが、条件に合う整数です。
候補を書き出し、5で割ればOK。
「22+24\(n\)」の候補を書き出すと、
22,46,70,94,118,142,……
これらを5で割ってみます。
22 | 46 | 70 | 94 | 118 | 142 | |
5余り | 2 | 1 | 0 | 4 | 3 | 2 |
最初に「5余り3」を残すとここがラク
よって、Bの「条件に合う最小の数」は118です。
「割る数の最小公倍数」は、5×6×4=120
これより、公式は
B=118+120\(n\)
Bは「3けたの整数のうち、小さい方から5番目の数」。
候補を書き出すと、
118,238,358,478,598,718,……
よって、B=598
C:「5余り4」は後回しがラク
手順はBと同じ。
まずは「条件に合う最小の数」を力技で探します。
やはり、後々のために「5余り4」を残します。
6余り3→3,9,15,21,27,33,……
8余り1→1,9,17,25,33,41,……
これより、「6余り3」であり、「8余り1」でもある整数は、次のように表せます。
9+24\(n\)
この中から「5余り4」である数を取り出したものが、条件に合う整数です。
「9+24\(n\)」の候補を書き出し、5で割った余りを調べます。
9 | 33 | 57 | 81 | 105 | 129 | |
5余り | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 | 4 |
4→3→2→1→0というサイクルにも気づいてほしい
よって、Cの「条件に合う最小の数」は9です。
「割る数の最小公倍数」は、5×6×4=120
これより、公式は
C=9+120\(n\)
Cは「4けたの整数のうち、最小の数」。
候補を書き出すと、
9,129,249,369,489,609,729,849,969,1089,……
よって、C=1089
以上より、A+B+C=962+598+1089=2649
よって、3が正解です。
おわりに:整数の余りは最小数と最小公倍数が大事
お疲れ様でした!
条件に合う最小の数+割る数の最小公倍数×\(n\)
↑余りの問題には、この公式。
今回は、余りの条件を満たす整数を見つける問題でした。
典型的な3つのタイプが集約されています。
それぞれ毛色は異なりますが、全て「解法のポイント」の公式で対処できます。
万能調味料くらい便利なので、ぜひとも使いこなしてほしいと思います。
うま味をぎゅっと凝縮した万能調味料、な回でした(?)
同じく整数問題で、「範囲をしぼってしらみつぶし」で解くものもあります。
こちらもかなり頻出なので、最後に紹介しておきます。
特上カプヌの醤油、まんま松茸のお吸い物のインスタントのやつだった
作りものを作りもので例えるな
最後までお読みいただきありがとうございました。
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略解
A
「条件に合う最小の数」は余りそのもの、つまり2
「割る数の最小公倍数」は、5×6×4=120
これより、A=2+120\(n\)
Aの候補を書き出すと、
122,242,362,482,602,722,842,962,1082,……
Aは「3けたの整数のうち、最大の数」なので、
A=962
B
6余り4→4,10,16,22,28,34,……
8余り6→6,14,22,30,38,……
これより、「6余り4」かつ「8余り6」である整数は、次のように表せる。
22+24\(n\)
→22,46,70,94,118,142,……
これらを5で割った余りは次表の通りである。
22 | 46 | 70 | 94 | 118 | 142 | |
5余り | 2 | 1 | 0 | 4 | 3 | 2 |
「割る数の最小公倍数」は、5×6×4=120
これより、B=118+120\(n\)
Bの候補を書き出すと、
118,238,358,478,598,718,……
Bは「3けたの整数のうち、小さい方から5番目の数」なので、
B=598
C
6余り3→3,9,15,21,27,33,……
8余り1→1,9,17,25,33,41,……
これより、「6余り3」かつ「8余り1」である整数は、次のように表せる。
9+24\(n\)
「9+24\(n\)」の候補と、5で割った余りの対応は次表の通りとなる。
9 | 33 | 57 | 81 | 105 | 129 | |
5余り | 4 | 3 | 2 | 1 | 0 | 4 |
「割る数の最小公倍数」は、5×6×4=120
これより、C=9+120\(n\)
Cの候補を書き出すと、
9,129,249,369,489,609,729,849,969,1089,……
Cは「4けたの整数のうち、最小の数」なので
C=1089
以上より、A+B+C=962+598+1089=2649
よって、3が正解である。
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