こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本サイト、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。
前回は、装置の判定結果をもとに4桁の自然数を当てる問題でした。
判定結果の扱い方を含め、論理的に思考する力が求められる内容になってます。
ぜひ解いてみてください。
もう解いた方は、お疲れ様でした。
勉強した内容を定着させるためにも、少し間をおいて復習されることをおすすめします。
復習では「似た問題に使えそうな知識は何か?」を自ら追求し、学ぶことが大切です。
本試験では過去問と全く同じ問題は出ないので、個々の解説をまるごと暗記してもあまり効果はないでしょう。
それよりも、同じような問題に広く応用できるエッセンスを習得する方が重要になってきます。
例として、本サイトでは「解法のポイント」として紹介しているものがあるので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
復習がバッチリな方は、本日の問題へ参りましょう!
本日の演習問題
あるコンテストの決勝戦では、来場者全員の投票によってA、B、Cの3つの芸術作品から最優秀賞を受賞する作品が決められる。次のことが分かっているとき、ア〜エのうち確実に正しいといえるものを全て挙げているのはどれか。
- 来場者は、それぞれ自分が「欲しい」と思った作品を最大3つまで選んで投票することができた。
- 全ての来場者は、少なくとも1つの作品に投票した。
- Aに投票した来場者は、BまたはCにも投票した。
- BとCの両方に投票した来場者は、Aには投票しなかった。
- Cに投票した来場者は、Bにも投票した。
ア:AとCの両方に投票した者はいなかった。
イ:Aに投票した者は、Bにも投票した。
ウ:AまたはCに投票した者は、Bにも投票した。
エ:Bに投票しなかった者がいた。
- ア、イ、ウ
- ア、イ、エ
- ア、ウ、エ
- イ、ウ、エ
- ア、イ、ウ、エ
1
コンテストの投票で最優秀賞を決める問題です。
内容からいって、各作品の得票数や受賞作品を明らかにする必要はないですね。
以下、詳しい解説になります。
回りくどい説明が嫌な方は、一番下に略解としてコンパクトにまとめてあるので、そこだけ読んでいただくのでも大丈夫です。
それではスタート!
詳しい解説
話題は「最優秀作品を決める投票」ですが、解答者はア〜エから正しい選択肢を全て選べればOKです。
ア〜エの内容を見るに、問題の焦点は「三作品の選ばれ方」にあることが分かります。
言い換えれば「A、B、Cから投票する作品の選び方のパターン」を全て挙げよ、ということです。
しかし、これだけではまだ解答の方針が立ちません。
当然ながらヒントは問題文として与えられているのですが、上手に読み替える必要があります。
先に結論を言ってしまうと、本問は「集合と論理」に属する問題で、この分野に定番の解法が使えます。
例えば3つ目の条件は、次のように論理式で解釈できます。
「Aに投票した来場者は、BまたはCにも投票した。」
→「\(A \Rightarrow B \lor C\)」
その他の条件やア〜エの内容も、同じように論理式で読み替えることができます。
このことから、本問は「集合と論理」にカテゴライズされる問題であるといえますね。
ここまで来ればあと一歩。
「集合と論理」に用いられる典型的な解法のうちから、本問に有効な手段を選んで解くだけです。
- 逆・裏・対偶や三段論法を用いた論理式の処理
- 真偽分類表を作る
本問のような、起こりうる全てのパターンを扱うことが可能なケースでは、真偽分類表が有効です。
Aに投票する場合を大文字「A」で、投票しない場合を小文字「a」でそれぞれ表すと、次のような真偽分類表を書くことができます。
たかだか8通りですね。
あとは各パターンを条件と照らし合わせて、条件に合わないものを消していきましょう。
まず、 2つ目の条件全ての来場者は、少なくとも1つの作品に投票した。 より、どの作品にも投票していない(viii)は不適。
次に、 3つ目の条件Aに投票した来場者は、BまたはCにも投票した。 より、Aに投票しているにもかかわらずBにもCにも投票していない(iv)は不適。
また、 4つ目の条件BとCの両方に投票した来場者は、Aには投票しなかった。 より、BにもCにもAにも投票している(i)は不適。
さらに、 5つ目の条件Cに投票した来場者は、Bにも投票した。 より、Cに投票しているにもかかわらずBには投票していない(ii)と(vi)は不適。
残ったのは「ABc」と「aBC」と「aBc」の3パターンです。
この結果をもとに、ア〜エの正誤を検討しましょう。
ア:AとCの両方に投票した者はいなかった。
上の3通りの中に「A○C」のパターンはないので、この記述は確実に正しいといえます。
イ:Aに投票した者は、Bにも投票した。
Aに投票したパターンは「ABc」のみで、これは記述の内容に合致します。
よって、この記述は確実に正しいといえます。
ウ:AまたはCに投票した者は、Bにも投票した。
「ABc」と「aBC」が該当しますが、どちらもBに投票しているので、この記述は確実に正しいといえます。
エ:Bに投票しなかった者がいた。
上の3通りは、いずれもBに投票しているので、この記述は誤りです。
以上より、確実に正しいといえる記述はアとイとウです。
よって、1が正解です。
おわりに
お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?
真偽分類表を用いてコンテストの投票パターンを明らかにする問題でした。
「論理の問題だ!」と気づくことが、本問では最も重要です。
それさえ分かれば、あとは定番の解法が使えます。
論理の問題の解法は2つ、「論理式で処理する」か「真偽分類表を使う」かのいずれかです。
本問のような起こりうる全てのケースを扱えるような場合には、真偽分類表を書いて処理するのが分かりやすいです。
真偽分類表を使った解法は、お手持ちの参考書にも必ず載っているはずです。
理解があやふやだった方は、この機会にしっかりマスターしてしまいましょう!
本サイトでは、今後もこうした演習用の問題をアップしていく予定なので、ブックマークなどして気軽に訪れてもらえたらうれしいです。
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略解
Aに投票する場合を大文字「A」で、投票しない場合を小文字「a」でそれぞれ表すとすると、真偽分類表は次のようになる。
まず、2つ目の条件「全ての来場者は、少なくとも1つの作品に投票した。」より、どの作品にも投票していない(viii)は不適。
次に、3つ目の条件「Aに投票した来場者は、BまたはCにも投票した。」より、Aに投票しているにもかかわらずBにもCにも投票していない(iv)は不適。
また、4つ目の条件「BとCの両方に投票した来場者は、Aには投票しなかった。」より、BにもCにもAにも投票している(i)は不適。
さらに、5つ目の条件「Cに投票した来場者は、Bにも投票した。」より、Cに投票しているにもかかわらずBには投票していない(ii)と(vi)は不適。
以上をもとに、ア〜エの正誤を検討する。
ア:AとCの両方に投票した者はいなかった。
「A○C」のパターンはないから、この記述は確実に正しいといえる。
イ:Aに投票した者は、Bにも投票した。
Aに投票したパターンは「ABc」のみで、これは記述の内容に合致する。
よって、この記述は確実に正しいといえる。
ウ:AまたはCに投票した者は、Bにも投票した。
「ABc」と「aBC」が該当するが、どちらもBに投票しているから、この記述は確実に正しいといえる。
エ:Bに投票しなかった者がいた。
残った3通りはいずれもBに投票しているから、この記述は誤り。
以上より、確実に正しいといえる記述はアとイとウである。
したがって、1が正解である。
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