こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本サイト、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。
実に1ヶ月ぶりの投稿です。
宇宙の歴史を思えば、1ヶ月なんて誤差みたいなものなんだ、きっと。
- 推論問題の出題パターンが分かる
- 過去問の類題を例に、本番で役立つ「解法のポイント」の使い方を学べる
- どこよりも詳しい解説で、本試験レベルの問題を完全理解
→数的処理の「あと一点」が実現!
公務員試験の数的処理であと一点上乗せしたければ、命題と論理を盤石にしましょう。
理由は2つ。
- 例年一定のペースで出題がある
- 問題がパターン化されており対策しやすい
逆に、この「パターン」を知らないまま闇雲に問題演習しても、場当たり的な解き方の知識が増えるばかりでなかなか実力は身につかないでしょう。
正解さえできればどんなやり方でもいいんだけどね
この記事では、公務員試験の数的処理で頻出の推論問題について、まずはじめに3つの出題パターンを紹介します。
それから過去問の類題を一緒に解いて理解していただくことで、本番で使える解法を身につけていってもらいます!
講義:推論の解き方3パターン
推論問題は、次の3つのパターンに分類できます。
- 命題として処理(対偶や三段論法)
- 真偽表を作る
- その他
【1】命題として処理(対偶や三段論法)
推論問題で一番多いのがこのパターン。(5つの選択肢がすべてこれ、というケースもよくある)
「○○ならば○○」とか「○○のとき○○」という表現を見たら、純粋な命題の問題として処理することを検討しましょう。
このタイプは次のような手順で処理します。
- 与えられた条件および推論をすべて「○○⇒〇〇」の形に表す
- 「P→A∧B」とか「A∨B→P」があれば分割する
- 得られた命題の対偶をとる
- 「○○⇒……」「……⇒××」という組み合わせを合体して「○○⇒××」にする
2以降は推論から当たりをつけて進めると時間短縮になります。
例えば推論が「○○⇒××」だったら、「〇〇⇒」とか「⇒××」の形が登場する命題にのみ注目してください。
この場合、分割や対偶で「〇〇⇒」とか「⇒××」の形にならないものはスルーしてOK!
【2】真偽表を作る
命題に次いで典型的なこのパターン。
人の好き嫌い、以上/未満、所属する/しない、といったYES/NOに二分されるような条件や推論があれば、真偽表で解決できるかもしれません。
「真偽表」というのは、あり得る全ての○×の組み合わせを書き出した表のことです。
こんなやつ↓
犬 | 猫 | うさぎ | |
A | ○ | ○ | ○ |
B | ○ | × | ○ |
C | × | ○ | × |
D | × | × | × |
問題を解くときは、与えられた条件を満たさないパターンを排除して、残ったパターンから推論の真偽を検討します。
【3】その他
命題でも真偽表でも解決できない問題が時たま出題されます。
このタイプはパターン化するのがなかなか難しいんですが、推論に合わないケースを1つ見つけて否定する、という解き方をするのが多い気がします。
真正面から向き合うと時間を取られるので、先に他の選択肢を調べて消去法で正誤を判断するのが現実的な対処法でしょう。
以上の講義を踏まえて、演習問題に行ってみよう!
演習問題:命題と推論4
次のうち、論理的に正しい推論はどれか。
- ある調査では、体脂肪率が20%以上の者全員が睡眠時間が7時間未満であるか、あるいは朝食を摂らない日が週に3日以上ある、と回答した。また、睡眠時間が7時間未満であると回答した者全員が、運動に費やす時間が週あたり1時間未満であると回答した。このとき、運動に費やす時間が週あたり1時間以上であると回答した者は、体脂肪率が20%未満であることが論理的に推論できる。
- あるアイスクリームの売店では、気温が30℃以上の晴れた日は売上げが前日比で3割増加することが分かっている。また、この売店が駅前で割引券を配るのは晴れの日に限られることも分かっている。このとき、売店の売上げの増加率が前日比で3割に届かなかった日は、駅前で割引券を配っていなかったことが論理的に推論できる。
- ある道路では、雨が降ると必ず渋滞が発生し、週末には必ず交通量が前年の平均を上回ることが分かっている。また、交通量が前年の平均を下回る日は、必ず渋滞が発生しないことが分かっている。このとき、雨が降るのは週末のみであることが論理的に推論できる。
- X社に勤めるAは、平日には必ず出社し、かつAがいるX社のフロアは必ず明かりが点いていることが分かっている。また、X社において全館清掃が行われるのは週末のみであることも分かっている。このとき、Aが出社していない、あるいはAがいるX社のフロアが消灯していれば、X社において全館清掃が行われていることが論理的に推論できる。
- あるノートパソコンは、起動時にUSBメモリが挿入されているか、あるいはバッテリーの残量が5%未満である場合にエラーメッセージが出力される。また、エラーメッセージが出力される場合には、必ず電源ランプが点滅する。このとき、起動時に電源ランプが点滅していないならば、USBメモリが挿入されておらず、かつバッテリーの残量が5%以上であることが論理的に推論できる。
5
数的処理ではおなじみの推論問題です。
選択肢の正誤を1つずつ検討しましょう。
以下、詳しい解説です。
回りくどい説明が嫌な方は、一番下に略解としてコンパクトにまとめてあるので、そこだけ読んでいただくのでも大丈夫です。
それでは、解説スタート!
解説
例年第1問目として出題されることの多い、論理的に正しい推論を選ばせる問題です。
推論問題の3パターンをおさらいしましょう。
- 命題として処理(対偶や三段論法)
- 真偽表を作る
- その他
本問のように選択肢が個々に独立している場合は、上の3つの解法を内容に応じて使い分ける必要があります。
本問は1〜5、全てが1の方法で解けます。
いずれの選択肢も、条件を「○○ならば××」の形に言い表せる点に注目。
選択肢1の正誤:「○○ならば××」式の言い換えが大切
与えられた条件を命題の「○○ならば××」式に言い換えましょう。
次の命題は、真であることが約束されています。
\[
体脂肪率が20%以上 \Rightarrow (睡眠が7時間未満 \lor 朝食を摂らない日が週に3日以上) \\
睡眠が7時間未満 \Rightarrow 運動の時間が週に1時間未満
\]
一方、推論(証明したい命題)は次のように表せます。
\[
\overline{運動の時間が週1時間未満} \Rightarrow \overline{体脂肪率が20%以上}
\]
「否定」を使った以上/未満の言い換えに注意です。
「〜以上」を「〜未満ではない」と脳内変換して表現してるよ
推論の命題は、否定形のままだとちょっと扱いづらいので、対偶の真偽を考えることにします。
\[
体脂肪率が20%以上 \Rightarrow 運動の時間が週1時間未満
\]
同じ「\(体脂肪率が20%以上 \Rightarrow\)〜」で始まる1つ目の命題に注目です。
左側の「体脂肪率が20%以上」に対し、右側は「または」なので分割できず、2つ目の命題につながりません。
つまり、どうあっても「\(体脂肪率が20%以上 \Rightarrow 運動の時間が週1時間未満\)」という推論の命題を導くことはできないことになります。
(「または」ではなく「かつ」だったら、
\(体脂肪率が20%以上 \Rightarrow 睡眠が7時間未満 \Rightarrow 運動の時間が週に1時間未満\)
という三段論法で推論が正しいと示せますが……)
以上より、選択肢1は誤りです。
選択肢2の正誤:条件命題から推論を導けるか?を考える
こちらも、与えられた条件を「○○ならば××」式に言い換えます。
\[
(30℃以上 \land 晴れ) \Rightarrow 売上げが3割増加 \\
割引券 \Rightarrow 晴れ
\]
一方、推論は次のように表せます。
\[
\overline{売上げが3割以上} \Rightarrow \overline{割引券}
\]
否定形は扱いづらいので、ここでも推論の対偶を考えることにします。
\[
割引券 \Rightarrow 売上げが3割以上
\]
条件の2つ目に「\(割引券 \Rightarrow 晴れ\)」があるので、「\(晴れ \Rightarrow \)〜」という命題があれば三段論法に持ち込めます。
推論が「割引券⇒」だから条件の2つ目に注目
しかし、1つ目の命題の左側は「かつ」でこれ以上分割することができないので、「\(晴れ \Rightarrow \)〜」という形の命題を得ることはできません。
結局、与えられた条件から命題「\(割引券 \Rightarrow 売上げが3割以上\)」の真偽を示すことはできないのです。
以上より、選択肢2は誤りです。
選択肢3の正誤:条件命題が多くてもやることは同じ
与えられた条件は以下です。
\[
雨 \Rightarrow 渋滞 \\
週末 \Rightarrow 交通量が平均以上 \\
\overline{交通量が平均以上} \Rightarrow \overline{渋滞} \\
\Updownarrow 対偶 \\
渋滞 \Rightarrow 交通量が平均以上
\]
むしろ条件命題が渋滞してる
一方、推論は次のように表せます。
\[
雨 \Rightarrow 週末
\]
条件の1つ目は、3つ目(の対偶)につなげることができます。
\[
雨 \Rightarrow 渋滞 \Rightarrow 交通量が平均以上
\]
しかし、与えられた条件から「\(交通量が平均以上 \Rightarrow \)〜」の形の命題を得ることはできないので、推論「\(雨 \Rightarrow 週末\)」が真であることを示せません。
以上より、選択肢3は誤りです。
選択肢4の正誤:対偶で「否定」を打ち消すのも大事
与えられた条件は以下です。
\[
平日 \Rightarrow (出社 \land フロアの明かり) \\
全館清掃 \Rightarrow \overline{平日}
\]
一方、推論は次のように表せます。
\[
(\overline{出社} \land \overline{フロアの明かり}) \Rightarrow 全館清掃 \\
\Updownarrow 対偶 \\
\overline{全館清掃} \Rightarrow (出社 \lor フロアの明かり)
\]
「全館清掃」に言及した命題は条件の2つ目だけですが、ここからどう工夫しても(=対偶を考えても)「\(\overline{全館清掃} \Rightarrow \)〜」の形を導くことはできず、推論の真偽は確定しません。
以上より、選択肢4は誤りです。
選択肢5の正誤:対偶を考えると三段論法が使えるケースもある
与えられた条件は以下です。
\[
(\mathrm{USB} \lor バッテリー5%未満) \Rightarrow エラー \\
エラー \Rightarrow 点滅
\]
一方、推論は次のように表せます。
\[
\overline{点滅} \Rightarrow (\overline{\mathrm{USB}} \land \overline{バッテリー5%未満}) \\
\Updownarrow 対偶 \\
(\mathrm{USB} \lor バッテリー5%未満) \Rightarrow 点滅
\]
これは、次のように条件の命題から三段論法を用いて導き出したものに他なりません。
\[
(\mathrm{USB} \lor バッテリー5%未満) \Rightarrow エラー \Rightarrow 点滅
\]
推論が真であることが示されました。
よって、5が正解です。
おわりに:推論は「命題」か「真偽表」
お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?
推論問題の解法は3つ、対偶や三段論法 or 真偽表 or その他、です。
今回は各選択肢が独立した、命題と推論の問題でした。
例年第1問目にある推論の問題は、本問のように個々の選択肢が独立した形式になっている場合が大半です。
選択肢を順に検討していくことになりますが、一つ一つは冒頭で紹介した3つの解法のいずれかで対処できます。
推論問題は比較的パターン化しやすいジャンルなので、しっかり対策して得点源にしましょう。
「解法のポイント」を頭に入れて、使いこなせるように練習してください。
過去問を解いたり、本サイトの問題にチャレンジするのもオススメです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
本サイトでは、今後もこうした演習用の問題をアップしていく予定なので、ブックマークなどして気軽に訪れてもらえたらうれしいです。
また、運営のやる気UPと記事のクオリティアップにつながりますので、ご意見やご感想などありましたら、お気軽にコメントにてお知らせください!
この記事が参考になったら、ぜひシェアしてください!
Tweet次回もお楽しみに!
略解
条件:
\(
体脂肪率が20%以上 \Rightarrow (睡眠が7時間未満 \lor 朝食を摂らない日が週に3日以上) \\
睡眠が7時間未満 \Rightarrow 運動の時間が週に1時間未満
\)
推論:
\(
\overline{運動の時間が週1時間未満} \Rightarrow \overline{体脂肪率が20%以上} \\
\Updownarrow 対偶 \\
体脂肪率が20%以上 \Rightarrow 運動の時間が週1時間未満
\)
「\(体脂肪率が20%以上 \Rightarrow\)〜」で始まる1つ目の条件に注目すると、右側は「または」なのでこれ以上分割できず、2つ目の命題につなげる(=三段論法に持ち込む)ことができない。
つまり、推論が真であることを示せない。
よって、選択肢1は誤り。
選択肢2の正誤:×
条件:
\(
(30℃以上 \land 晴れ) \Rightarrow 売上げが3割増加 \\
割引券 \Rightarrow 晴れ
\)
推論:
\(
\overline{売上げが3割以上} \Rightarrow \overline{割引券} \\
\Updownarrow 対偶 \\
割引券 \Rightarrow 売上げが3割以上
\)
条件の2つ目に「\(割引券 \Rightarrow 晴れ\)」があるので、「\(晴れ \Rightarrow \)〜」という命題があれば三段論法に持ち込めます。
しかし、1つ目の命題の左側は「かつ」でこれ以上分割することができないので、「\(晴れ \Rightarrow \)〜」という形の命題を得ることはできず、条件の2つ目の「\(割引券 \Rightarrow 晴れ\)」を用いて三段論法に持ち込むこともできない。
つまり、推論が真であることを示せない。
よって、選択肢2は誤り。
選択肢3の正誤:×
条件:
\(
雨 \Rightarrow 渋滞 \\
週末 \Rightarrow 交通量が平均以上 \\
\overline{交通量が平均以上} \Rightarrow \overline{渋滞} \\
\Updownarrow 対偶 \\
渋滞 \Rightarrow 交通量が平均以上
\)
推論:
\(
雨 \Rightarrow 週末
\)
条件の1つ目、および3つ目(の対偶)より、次の真なる命題を得る。
\[
雨 \Rightarrow 渋滞 \Rightarrow 交通量が平均以上
\]
しかし、与えられた条件から「\(交通量が平均以上 \Rightarrow \)〜」の形の命題を得ることはできないため、推論が真であることを示せない。
よって、選択肢3は誤り。
選択肢4の正誤:×
条件:
\(
平日 \Rightarrow (出社 \land フロアの明かり) \\
全館清掃 \Rightarrow \overline{平日}
\)
推論:
\(
(\overline{出社} \land \overline{フロアの明かり}) \Rightarrow 全館清掃 \\
\Updownarrow 対偶 \\
\overline{全館清掃} \Rightarrow (出社 \lor フロアの明かり)
\)
「全館清掃」に言及した命題は条件の2つ目だけであるが、ここから「\(\overline{全館清掃} \Rightarrow \)〜」の形を導くことはできず、推論の真偽は確定しない。
よって、選択肢4は誤り。
選択肢5の正誤:○
条件:
\(
(\mathrm{USB} \lor バッテリー5%未満) \Rightarrow エラー \\
エラー \Rightarrow 点滅
\)
推論:
\(
\overline{点滅} \Rightarrow (\overline{\mathrm{USB}} \land \overline{バッテリー5%未満}) \\
\Updownarrow 対偶 \\
(\mathrm{USB} \lor バッテリー5%未満) \Rightarrow 点滅
\)
これは、次のように条件から三段論法を用いて導き出したものに他ならない。
\[
(\mathrm{USB} \lor バッテリー5%未満) \Rightarrow エラー \Rightarrow 点滅
\]
したがって、5が正解である。
コメント