団体注文の定価と値引率

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本サイト、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。

前回は、任意の個数のサイコロを振って目の和が6となる場合の数を数える問題をやりました。
どうやって解いたか、この場で解法の要点は思い出せそうですか?
忘れてしまった方は、ぜひ一度戻って見てきてください。
数的処理に限らず、解いた問題を忘れないうちに思い出すクセを付けると、効率よく復習できるのでおすすめですよ!
バッチリな方のために、本日の問題を投下します。

本日の演習問題

ある店では、洋食と和食、2種類の弁当を販売している。この店に対し一度に多数の弁当を発注すると、洋食と和食がそれぞれ異なる値引率(整数)で値引きされるシステムがある。いま、ある団体が洋食および和食の弁当を多数注文したところ、合計金額が定価より10%安くなった。洋食と和食の定価の比が2:1、洋食と和食の注文数の比が4:3であるとき、値引率について正しいのはどれか。

  1. 洋食と和食の値引率の組み合わせは全部で4通りある。
  2. 洋食の値引率が和食の値引率を上回る場合は2通りある。
  3. 洋食の値引率が7%のとき、和食の値引率は18%である。
  4. 洋食の値引率が10%のとき、和食の値引率は15%である。
  5. 全ての組み合わせで、洋食の値引率と和食の値引率は互いに異なる。

「合計金額」とか「定価」というキーワードがありますね。方程式の問題でしょうか?
だとすれば、何を文字でおくのか、という点が重要になってきます。
後半には定価や注文数の比が与えられているので、比の扱いもポイントになりそうです。
以下でこの問題を詳しく解説します。
長ったらしい説明はいらないよ、という方は一番下に略解をまとめてあるので、そちらまで読み飛ばしていただいても問題ありません。

それではスタート!

詳しい解説

現時点で分かっていない数値を洗い出すと、以下の3点に集約されますね。

  • 定価
  • 注文数
  • 値引率

これら3点が揃えば、「合計」について一つ方程式を立てることができそうです。
このうち、「定価」と「注文数」に関しては洋食と和食の比の関係が与えられているので、それを活用しましょう。

比の関係を具体的な数値に変換する方法は、比例定数を文字でおくことでしたね。
定価および注文数の比例定数をそれぞれ\(k, l\)とおくと、数値は以下のように整理されます。

洋食和食合計
定価\(2k\)\(k\)
人数\(4l\)\(3l\)
注文額(定価)
値引率(%)\(10\)
値引額

これにより、定価での注文額が求められます。
(注文額)=(定価)×(人数)より、表は以下のようになります。

洋食和食合計
定価\(2k\)\(k\)
人数\(4l\)\(3l\)
注文額(定価)\(8kl\)\(3kl\)\(11kl\)
値引率(%)\(10\)
値引額

表の通り、定価での注文額の合計は\(11kl\)なので、第3文「合計金額が定価より10%安くなった」より、値引額の合計は\(11kl×\frac{10}{100}\)と求められます。

洋食和食合計
定価\(2k\)\(k\)
人数\(4l\)\(3l\)
注文額(定価)\(8kl\)\(3kl\)\(11kl\)
値引率(%)\(10\)
値引額\(11kl×\frac{10}{100}\)

あとは洋食と和食の値引額が分かれば、表の一番下の段が完成し、方程式が立てられますね!
そのために必要な、洋食と和食の値引率をそれぞれ\(a\)%、\(b\)%とおいて、値引額を求めます。

洋食和食合計
定価\(2k\)\(k\)
人数\(4l\)\(3l\)
注文額(定価)\(8kl\)\(3kl\)\(11kl\)
値引率(%)\(a\)\(b\)\(10\)
値引額\(8kl×\frac{a}{100}\)\(3kl×\frac{b}{100}\)\(11kl×\frac{10}{100}\)

これで、一番下の段の「値引額」に関して方程式が立てられます。

\[
8kl×\frac{a}{100}+3kl×\frac{b}{100}=11kl×\frac{10}{100}
\]

両辺を\(kl\)で割って、分母をはらうと次のような式が得られます。
(結局、\(k, l\)は相殺されて方程式には登場しません)

\[
8a+3b=110・・・(☆)
\]

値引率\(a, b\)について、整数であるという条件を用いて次のように求めます。

まず、☆印を\(b\)について解くと、\(b=\frac{2(55-4a)}{3}\)
\(b\)が正の整数であるためには、\(55-4a\)が3の倍数で、かつ正であることが条件になります。
そのような\(a\)の値を求めると、\(a=1, 4, 7, 10, 13\)
このとき、\((a, b)=(1, 34), (4, 26), (7, 18), (10,10), (13, 2)\)

これを用いて選択肢を検討すると、3が正解となります。

おわりに

お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?

方程式と比、それから整数と、数的推理で頻出の各分野が絡み合った総合的な問題でした。
比の関係はそのままだと扱いづらいので、まずは比例定数\(k\)を用いて、具体的な数値に変換してしまうやり方を試してみるのがおすすめです。
具体的な数値であれば、足したり引いたりして方程式を立てることもできますからね。
後半は、整数である、という条件を利用して不定方程式を解いています。
整数分野では定石的な解法なので、しっかりと使いこなせるようになっておきましょう。
国家総合職の数的処理では、本問のように、複数の分野の解法を総動員して解くような問題も少なくありません。
もし過去問や本サイトの問題が難しく感じられたら、まずは自分がつまずいたポイントを明確にし、同じ解法を利用する簡単な問題に戻ってみましょう。

本サイトでは、今後もこうした演習用の問題をアップしていく予定なので、ブックマークなどして気軽に訪れてもらえたらうれしいです。
また、運営のやる気UPと記事のクオリティアップにつながりますので、ご意見やご感想などありましたら、お気軽にコメントにてお知らせください!

次回もお楽しみに!

略解

定価および注文数の比例定数をそれぞれ\(k, l\)とおくと、洋食と和食の定価および注文数は次のように整理される。

  洋食 和食 合計
定価 \(2k\) \(k\)
人数 \(4l\) \(3l\)
注文額(定価)      
値引率(%)     \(10\)
値引額      

すると、定価での注文額は、(定価)×(人数)により以下のように求められる。

  洋食 和食 合計
定価 \(2k\) \(k\)
人数 \(4l\) \(3l\)
注文額(定価) \(8kl\) \(3kl\) \(11kl\)
値引率(%)     \(10\)
値引額      

定価での注文額の合計が\(11kl\)であることと、第3文「合計金額が定価より10%安くなった」より、値引額の合計は\(11kl×\frac{10}{100}\)と求められる。

  洋食 和食 合計
定価 \(2k\) \(k\)
人数 \(4l\) \(3l\)
注文額(定価) \(8kl\) \(3kl\) \(11kl\)
値引率(%)     \(10\)
値引額     \(11kl×\frac{10}{100}\)

洋食と和食の値引率をそれぞれ\(a\)%、\(b\)%とおくと、それらの値引額は次表のように求められる。

  洋食 和食 合計
定価 \(2k\) \(k\)
人数 \(4l\) \(3l\)
注文額(定価) \(8kl\) \(3kl\) \(11kl\)
値引率(%) \(a\) \(b\) \(10\)
値引額 \(8kl×\frac{a}{100}\) \(3kl×\frac{b}{100}\) \(11kl×\frac{10}{100}\)

これにより、値引額について次の方程式が得られる。

\[
8kl×\frac{a}{100}+3kl×\frac{b}{100}=11kl×\frac{10}{100}
\]

\(b\)について解くと、\(b=\frac{2(55-4a)}{3}\)
\(b\)は正の整数であるから、\(55-4a\)は3の倍数で、かつ正となる。
そのような\(a\)の値を求めると、\(a=1, 4, 7, 10, 13\)
このとき、\((a, b)=(1, 34), (4, 26), (7, 18), (10,10), (13, 2)\)

よって、正解は3である。

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