命題と推論

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本ブログ、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。

前回は、余事象と等差数列の知識を活用して条件を満たす整数の和を求める問題を解きましたね。
本日は第二回目です。早速問題に参りましょう!

本日の演習問題

次のア〜ウの記述のうち、推論が正しいものを全て挙げているのはどれか。

  1. A社に勤務するPの席からはQが住む部屋のベランダが見える。Qは雨が降ると、必ずてるてる坊主をベランダに飾る習慣がある。ある日、Pが窓の外を見ると、ベランダにてるてる坊主か飾られていたので、Pは「今、外は雨である」と推論した。
  2. Rは昼休みになると、昼食をとるために必ず外出する。ある日の昼休み、Pは社内でRに似た人を見かけたが、すぐに「この人はR本人ではない」と推論した。
  3. A社の社員は就業時に必ず紺のジャケットを羽織ることになっている。ある日、Pは出張先からその日たまたまA社を訪れていた取引先のSと電話で話をした。電話口にいるSについて、Pは「Sは今、紺のジャケットを着ていない」と推論した。
  1. イのみ
  2. ウのみ
  3. アとイ
  4. アとウ
  5. イとウ

例年、数的処理の第1問目にありがちな、命題を扱った問題ですね。
ア〜ウの全てについて真偽を検討する必要がありますが、一つ一つはそれほど難解ではないので、落ち着いて対処しましょう。
以下で詳しく解説しますが、回りくどい説明が苦手な方は略解まで読み飛ばしても大丈夫です。

それではスタート!

詳しい解説

まずアについて、問題文中から与えられた命題を抽出することを考えます。
命題といえば、「○○ならば○○」という形です。
アの文中から、「○○ならば○○」の形を見つけ出すんです。
この考え方でいくと、まず注目すべきは第二文だと分かります。

問題文の注目箇所
問題文の注目箇所

この部分を言い換えると、「Qは『雨』ならば『てるてる坊主をベランダに飾る』」ということです。
つまり、「『雨』ならば『ベランダにてるてる坊主』」という命題(仮にAとしましょう)が真である、と言っています。
このように、確実に真である命題を獲得することがこの問題の第一ステップになります。
題意は推論が正しい文をピックアップすることなので、次は推論に言及した部分を見ていきます。
具体的には第三文の後半部分がそれに当たります。

「〜見ると、ベランダにてるてる坊主か飾られていたので、Pは『今、外は雨である』と推論した。」

Pはベランダにてるてる坊主が飾られていたのを見て、「外は雨だ」と推論したんです。
「『ベランダにてるてる坊主』ならば『雨』」というのがPの主張なわけですが、これは正しいでしょうか?
Pの推論は、数学的に言うと命題Aの逆にあたります。
一般に、ある命題が真であっても、その命題の逆は真かどうか分かりません。
だから、命題Aが真である、という条件だけではPの推論が正しいかどうか判断することはできません。
よって、アの推論は正しくない、ということになります。

残りのイとウに関しても考え方のプロセスは同じで、まず文中から真である命題を取り出し、推論との関係性から真偽を判定する、という流れをたどることになります。

では、次はイについて考えましょう。
こちらはもっと分かりやすく、第一文が真である命題、第二文が推論の部分と分かれています。
第一文は「『Rという人物』ならば『昼休みに外出』」という命題(Bとします)が真である、と言ってます。
続く第二文は「『昼休みに社内』ならば『Rという人物ではない』」と読めます。
表現を変えると、「『昼休みに外出』ならば『R』」ということになりますが、これは正しいでしょうか?
命題Bとの関係性を考えると、推論はBの対偶にあたるので、イの推論は真となります。
対偶命題の真偽は一致する、というのは押さえておきたい定石ですね。

最後にウですが、第一文、第三文がそれぞれ真である命題、推論にあたります。
第一文は、「『A社の社員』ならば『紺のジャケット』」という命題(Cとします)が真である、と主張しています。
一方で第三文は、「『A社の社員』ならば『紺のジャケット』」と推論しています。
命題Cに対し、推論は裏なので、真偽は判断できません。
よって、ウの推論は正しくない、ということになります。

以上から、ア〜ウのうち推論が正しいのは「イのみ」なので、1が正解となります。
最後に、命題の逆・裏・対偶と真偽の関係をまとめておきましょう。

命題の逆・裏・対偶と真偽
命題の逆・裏・対偶と真偽の関係

おわりに

お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?

「推論」というキーワードから、命題に関係する問題だな、と頭を切り替えて対応したいですね。
命題に関する問題は、ほとんどが逆、裏、対偶を考えることで解決できるので、
今回のような問題を何度も解いて、ぜひ得意分野にしちゃってください!
本試験ではもう少し文章量の多い問題も出題されているみたいなので、今後そういう問題も扱えれば、と思っております。

本ブログでは、今後もこうした演習用の問題をアップしていく予定なので、
ブックマークなどして気軽に訪れてもらえたらうれしいです。
また、運営のやる気UPと記事のクオリティアップにつながりますので、ご意見やご感想などありましたら、お気軽にコメントにてお知らせください!

次回もお楽しみに!

略解

ア:× 
記述から分かることは、命題『「雨」ならば「ベランダにてるてる坊主」』が真、ということである。一方、Pの推論は『「ベランダにてるてる坊主」ならば「雨」』であり、元の命題の逆である。一般に、ある命題が真であっても、その逆命題が真であるとは限らないので、Pの推論は正しくない。
イ:○
記述から分かることは、命題『「R」ならば「昼休みに外出」』が真、ということである。一方、Pの推論はであり、元の命題の対偶である。
一般に、ある命題が真のとき、その対偶命題も真であるので、Pの推論は正しい。 <br>
ウ:×
記述から分かることは、命題『「A社の社員」ならば「紺のジャケット」』が真、ということである。一方、Pの推論は『「昼休みに外出」ならば「R」』であり、元の命題の裏である。一般に、ある命題が真であっても、その裏命題が真であるとは限らないので、Pの推論は正しくない。

よって、正解は1である。

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