整数の和

こんにちは。初めましての方は初めまして。ご覧いただきありがとうございます!
本ブログ、「数的処理の穴場」を運営しておりますモクセイと申します。

記念すべき第1回目、本日は以下の問題を解いていきましょう!

本日の演習問題

1から560までの整数のうち、5でも7でも11でも割り切れないものを全て足し合わせた数に最も近いのは、次のうちどれか。

  1. 98300
  2. 98400
  3. 98500
  4. 98600
  5. 98700

整数の和に関する問題ですね。一見すると単純そうですが、解法の糸口は掴めたでしょうか?
全く分からなかった貴方も、大丈夫。以下で詳しく解説します。
回りくどい説明は嫌だ、という方は一番下の略解まで読み飛ばしてもらっても大丈夫です。

それではスタート!

詳しい解説

この問題、まずは問題文中の「割り切れ『ない』」という表現に引っかかることが大切です。 「5でも7でも11でも割り切れる数の和」なら簡単なのにな……と考えられればあと一歩。
数学の定石で、余事象を数えて全体から差し引く、という考え方があります。

余事象の求め方
Aでない事象の求め方

これを利用し、以下のようにして題意の値を求めます。

$$(5でも7でも11でも割り切れない数の和)=(総和)-(5または7または11で割り切れる数の和)$$

この式より、次のステップでは「5または7または11で割り切れる数の和」を求めることになります。 そのためには、「P:5で割り切れる数(=5の倍数)」「Q:7で割り切れる数(=7の倍数)」 「R:11で割り切れる数(11の倍数)」という3つの集合について考える必要があります。 PまたはQまたはRである数の和を求めるには、以下の3集合の和の公式を利用します。

\begin{multline}
n(P \lor Q \lor R) = n(P)+n(Q)+n(R) \\
-n(P \land Q)-n(P \land R)-n(Q \land R)+n(P \land Q \land R)
\end{multline}

「\(P \land Q\)」、「\(P \land R\)」、「\(Q \land R\)」、「\(P \land Q \land R\)」は、
それぞれ「35の倍数」、「55の倍数」、「77の倍数」、「385の倍数」です。

これで必要な道具は全て揃ったので、あとは公式に数値を当てはめるだけです。

まず、5の倍数の和を求めましょう。1から560までの整数のうち、5の倍数は560÷5=112個あります。「5の倍数の和」を「初項5、公差5、末項560、項数112の等差数列の和」と考えると、
以下のように求められます。

\[
\frac{(5+560)}{2} \times 112 = 31640
\]

以下、同様にして求めます。

7の倍数の和:
\[
\frac{(7+560)}{2} \times 80 = 22680
\]

11の倍数の和:
\[
\frac{(11+550)}{2} \times 50 = 14025
\]

35の倍数の和:
\[
\frac{(35+560)}{2} \times 16 = 4760
\]

55の倍数の和:
\[
\frac{(55+550)}{2} \times 10 = 3025
\]

77の倍数の和:
\[
\frac{(77+539)}{2} \times 7 = 2156
\]

385の倍数の和:\(385\)

よって、5または7または11で割り切れる数の和は

\[
31640 + 22680 + 14025 – 4760 – 3025 – 2156 + 385 = 58789
\]

さらに、5でも7でも11でも割り切れない数の和は

\[
157080 – 58789 = 98291
\]

題意は98291に一番近い数を選ぶことなので、正解は1となります。

おわりに

お疲れ様でした!
いかがだったでしょうか?

問題設定こそ単純なものの、きちんと向き合うと一筋縄では行かない問題でしたね。
解き方は分かっても、計算量が多くて正解にたどり着かなかったよ、という方もたくさんいると思います。
かくいう私も、解答を作るために一から解いたんですが、電卓には大いに助けられました(汗)
合格を目指すなら、時期にもよりますが、初めのうちは解答の方針が立てられれば十分だと思います。

本ブログでは、今後もこうした演習用の問題をアップしていく予定なので、ブックマークなどして気軽に訪れてもらえたらうれしいです。
また、運営のやる気UPと記事のクオリティアップにつながりますので、ご意見やご感想などありましたら、お気軽にコメントにてお知らせください!

次回もお楽しみに!

略解

まず、「5または7または11で割り切れる数の和」を求め、これを総和から引くことにより題意の値が得られる。
最初に、5で割り切れる数(=5の倍数)の和について、1から560までの整数の中に5の倍数は560÷5=112個であるから、 「初項5、公差5、末項560、項数112の等差数列」の和と考えて
\[
\frac{(5+560)}{2} \times 112 = 31640
\]
以下、同様にして、
7で割り切れる数(=7の倍数)の和:
\[
\frac{(7+560)}{2} \times 80 = 22680
\]
11で割り切れる数(=11の倍数)の和:
\[
\frac{(11+550)}{2} \times 50 = 14025
\]
5でも7でも割り切れる数(=35の倍数)の和:
\[
\frac{(35+560)}{2} \times 16 = 4760
\]
5でも11でも割り切れる数(=55の倍数)の和:
\[
\frac{(55+550)}{2} \times 10 = 3025
\]
7でも11でも割り切れる数(=77の倍数)の和:
\[
\frac{(77+539)}{2} \times 7 = 2156
\]
5でも7でも11でも割り切れる数(=385の倍数)の和:\(385\) 
ここで、「5または7または11で割り切れる数の和」を求めるため、集合の要素数を求める以下の公式を利用する。
\begin{multline}
n(A \lor B \lor C) = n(A)+n(B)+n(C) \\
-n(A \land B)-n(A \land C)-n(B \land C)+n(A \land B \land C)
\end{multline}
この公式において、3つの集合A、B、Cをそれぞれ「5の倍数」、「7の倍数」、「11の倍数」と当てはめると、「5または7または11で割り切れる数の和」は
\[
31640 + 22680 + 14025 – 4760 – 3025 – 2156 + 385 = 58789
\]
題意の値(=5でも7でも11でも割り切れない数の和)は、総和\(\frac{(1+560)}{2} \times 560 = 157080\)から上式の値を引くことにより求められ
\[
157080 – 58789 = 98291
\]
よって、正解は1である。

コメント

タイトルとURLをコピーしました